2014 Fiscal Year Annual Research Report
想定外事象に対するネットワーク異常検知システムの軍艦島における実証的研究
Project/Area Number |
26289194
|
Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
濱本 卓司 東京都市大学, 工学部, 教授 (10228546)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉田 成人 筑波技術大学, 学内共同利用施設等, 教授 (00416869)
猿渡 俊介 静岡大学, 情報学研究科, 講師 (50507811)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 軍艦島モニタリング / 視聴触統合センシング / ロバストセンサネットワーク / 建築群維持管理システム / 想定外事象 / エネルギーハーヴェスティング |
Outline of Annual Research Achievements |
島内居住区の建築群のモニタリングを実施するに当たり,まずパイロット的に1棟の建物を選び,視聴触統合モニタリングとロバストセンサネットワークの構築と計測による大量データの処理に備えた理論的検討を進めるとともに,実作業のために以下のような3度の軍艦島上陸を実施した。 ① 2014年6月には,計測対象となる島内居住区の主な建物の事前調査を行い,計測建物5棟を決定するとともに,初年度の先行的な検討対象建物として70号棟を選定した。② 2014年10月には,70号棟を対象にMEMS振動センサのチェックを兼ねて予備計測を行った。東側階段(海側)と西側階段(岩山側)それぞれの1階と7階の梁端上にセンサを一時的に設置した。2つの階段位置で短辺方向の伝達関数の形状は大きく異なり,洗掘による固定度(境界条件)の違いにより上部構造の一体化が失われていることがわかった。③ 2015年3月には,長期計測を目的に,振動センサを予備計測のときと同じ位置に4台,参考点として隣接する65号棟1階に1台,70号棟7階に太陽光パネル・蓄電池と通信制御機器を設置した。振動データは常時微動を2時間ごとに10分間計測・転送するとともに,島外から計測時刻と時間を変更することにより非常時にも対応できるように設定した。また,3号棟屋上の監視カメラから東西階段室を含む70号棟南面全体の画像データも転送できるようにした。現在,振動データと画像データはともに海を越えて順調に計測・転送されている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
70号棟における振動計測(触覚)と画像計測(視覚)に関してセンサ設置とデータ転送システムの構築が終了し,データ計測とシステム稼働の計測データの長期収集システムの自動化に関する初年度としての計測システム構築は順調に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は,70号棟の計測に加え,居住区内にあるほかの4棟の建物を計測対象とすることにより,建物単体ではなく建築群としてのモニタリングへ展開する。新たに計測を行う建物の特徴は以下のとおりである。 ① 65号棟:島内最大の鉱員住宅。児童公園を囲む中廊下式の「コ」の字形平面。北棟・東棟・西棟と順次建設され一体化された。② 16-20号棟:島内で2番目に古い鉱員住宅。海側はひとつながりの大廊下になっており,ここから各棟が狭い隣棟間隔で岩山方向に延びる櫛形平面。③ 31号棟:「く」の字形平面のRC造6階建て鉱員住宅。暴風時には島内でもとくに波浪が激しく打ちつける場所にあり,第二の防波堤としても機能した。北西側の地盤は激しく洗掘されている。屋上の一部にS造2階が増築されたがすでに崩壊している。④ 30号棟:島内で最も古いRC造鉱員住宅であるだけでなく,国内で最も古いRC造集合住宅。RC造7階建てで1916年竣工。当初4階建てだったが,その後3階分が増築された。中央に吹き抜けの中庭空間をもつ「ロ」の字形平面。1階の柱は激しく損傷し,部分的に床が抜け落ちている。自然崩壊の危険度がもっとも高い。 27年度中に,建築群としてのモニタリングを実施するためのセンサの設置とデータ転送のための通信システムの構築はほぼ終わらせ,28年度はその修正と補強に充てる。また,平行して,大量データの処理方法(短時間で有益な情報を効率的に抽出する方法)と表示方法(対象としている領域全体の把握に優れたグラフィックな表示方法)に関して,情報処理の自動化,効率化,三次元化,アニメーション化などの検討を進める。
|
Causes of Carryover |
建築群モニタリングのパイロット的な役割として,70号棟を先行して視聴触統合センシングを行ったが,加速度(触)と画像(視)に関するセンサの設置とデータ転送のための通信環境を整備したのち,異常音(聴)に関してはモニタリングの稼働状況をしばらく観察してから実施することを決めた。予定していた異常音のセンシングを先送りしたため次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度前半に異常音のセンシングが行えるように70号棟のモニタリングシステムを拡張する。
|
Remarks |
本Webページを通じて計測データは一般公開する予定である。
|
Research Products
(19 results)