2015 Fiscal Year Annual Research Report
微動探査と地質情報に基づく多次元液状化リスク簡易評価法の開発
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26289196
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Research Institution | National Institute for Land and Infrastructure Management |
Principal Investigator |
新井 洋 国土技術政策総合研究所, 建築研究部, 主任研究官 (40302947)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 液状化 / 微動 / 建築基礎構造 / 耐震設計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、将来の大地震に対する建物の耐震設計において不可欠な、広範囲にわたって実施可能な液状化地盤応答の簡易評価法を確立するため、以下の検討を行う。(1) 液状化層のS波速度(Vs)低下率を適切に推定する方法の導出、(2) 微動1点観測から地盤のVs構造を推定する手法の適用限界の明確化、(3) (1)、(2)の結果を反映した液状化地盤の水平変位と建物への地震荷重の簡易評価法の構築および有効性・適用限界の検討、(4) (3)で構築した簡易液状化解析法の多次元的な液状化リスク評価への応用の可能性の検討。 平成27年度は、平成26年度の検討で導出した液状化層の設計用せん断剛性比の与え方について、既往の液状化土槽の振動台実験データや模擬地盤の有効応力解析の結果との対比から、その妥当性と有効性の検証を重ねた。また、微動1点観測から地盤のVs構造を推定する手法について、たとえば長野県北部地震における住宅被災地域などを対象に、地盤構造の推定を行い、その結果と既往の地盤調査データあるいは建物の被害分布との比較をとおして、手法の妥当性と有効性の検証を重ねた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度の計画 (a) 液状化層のS波速度(Vs)低下率の同定結果の蓄積、(b) 微動1点観測から地盤のVs構造を推定する手法の適用事例の蓄積については、年度内に予定していた項目を実施し、それぞれ一定の成果を上げることができた。一方で、平成27年度の計画 (c) (a)(b) の結果を反映した簡易液状化解析法による地盤の水平変位と建物への地震荷重の評価については、対象地域の選定や必要な許認可等の取得に時間を要したため、開始が遅れ、検討の一部分の実施が次年度にずれ込むこととなった。
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Strategy for Future Research Activity |
(a) 提案する簡易液状化解析法の多次元的な液状化リスク評価への応用の可能性の検討:前年度までに構築した簡易液状化解析法を用いて、大阪(想定上町断層帯地震)あるいは高知(想定南海・東南海地震)の多地点を対象に、液状化地盤の水平変位と地表地震動の加速度応答スペクトルの面的分布を推定する。推定結果に寄与する要因(地盤特性、入力地震動特性、地形・堆積環境や建物特性に係わる種々のパラメタ)の感度解析を行うことで、提案手法に基づいて地域の液状化リスクを評価する可能性を検討する。 (b) 以上の研究成果を総括し、今後の研究の展開の可能性を取りまとめる。
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Causes of Carryover |
【現在までの進捗状況】に記したように、提案する簡易液状化解析法による地盤の水平変位と建物への地震荷重の評価について、対象地域の選定や必要な許認可等の取得に時間を要したため、開始が遅れ、検討の一部を次年度に延期して実施することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の理由により延期した検討を、大阪あるいは高知で実施するために使用する。具体的には、大阪あるいは高知において実施予定の微動観測や地盤調査の機器等(観測システムやスウェーデン式サウンディング試験装置など)の輸送・移動や動作のための消耗品・メンテナンスにかかる費用、申請者らの旅費等に使用したい。
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