2014 Fiscal Year Annual Research Report
観葉植物のグリーンアメニティ効果の実証と室内環境デザインへの応用
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26289202
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
松本 博 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90125659)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 幸宏 芝浦工業大学, システム工学部, 准教授 (10398935)
近藤 恵美 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00733867)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 観葉植物 / VOC除去 / 生理・心理反応 / グリーンアメニティ効果 / プロダクティビティ / 経済性評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,観葉植物のもつグリーンアメニティ効果に着目し,植物の熱・湿気環境調整効果及び化学物質除去効果を定量的に評価し,模擬オフィスと実オフィスを対象にした実証実験により観葉植物がオフィスワーカーの心理・生理反応およびプロダクティビティに及ぼす影響を定量的に解明し,その経済性評価法・室内環境デザインへの応用手法の開発を目的とする。平成26年度の研究計画とその成果は以下の通りである。 (1)観葉植物のグリーンアメニティ効果に関する文献調査:本研究の準備段階で,既に多くの国内外の関連文献を調査済みであるが,最近いくつかの重要な研究成果が報告されており,工学以外の学際領域での関連研究も含めた詳細調査を行い,知見を整理した。 (2)植物の熱空気環境調整作用に関するデシケータ実験:デシケータ実験により種々の観葉植物を対象に,異なる光環境条件(光源の種類,光色,照度,光の波長分布)と室内気流の有無が観葉植物の調湿・蒸散効果,日射遮蔽効果,VOC除去性能等に与える影響を系統的・定量的に調べた。その結果,主にポトス及びサンスベリアを対象に人工光源の種類と照度が植物のVOC除去効果に関する詳細なデータを得た。 (3)模擬オフィスを用いた被験者実験:大学内の実験室に設置されたチャンバー内に2名の被験者が作業を作り,観葉植物が執務者の心理・生理反応及びプロダクティビティに及ぼす影響に関する被験者実験を行った。 (4)グリーンアメニティ効果の経済性評価に関する文献調査・評価方法の検討:オフィスにおけるグリーンアメニティ効果の経済性評価法に関する関連研究を調査すると共に,上記(3)の模擬オフィス実験等で得られた知見などの信頼性のあるデータを基に,その経済性評価モデルを作成し,そのモデルの検証を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の研究計画として設定した4つのサブタスク,すなわち(1)観葉植物のグリーンアメニティ効果に関する文献調査,(2)植物の熱空気環境調整作用に関するデシケータ実験,(3)模擬オフィスを用いた被験者実験,(4)グリーンアメニティ効果の経済性評価に関する文献調査・評価方法の検討に対して,すべての項目で研究の遂行に必要な実験・研究環境をほぼ満足できるレベルで整備できたこと,前述した4つのサブタスクを実施し,当初の研究目的をほぼ達成したこと,ならびにそれらの研究成果を国内外の学会等(日本建築学会,空気調和・衛生工学会,Indoor Air 2015など)で発表したこと,などにより研究が概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)模擬オフィスを用いた被験者実験に関する課題 前年度に実施できなかった異なる室内環境条件(光源,照度,暗騒音レベル)の下で,SAPをベースにして作成した心理評価に関するアンケート調査,ならびに脳波,脳血流,眼球運動,脈波,呼吸などの多様な生理量並びにプロダクティビティを系統的に調べる。平成26年度の被験者実験で得られた結果の分析により,実オフィスにおける観葉植物がオフィスワーカーの心理・生理反応及びプロダクティビティに及ぼす影響に関する実証試験を行う必要がある。 (2)実オフィスの執務者を対象にしたグリーンアメニティ効果の実証実験に関する課題 平成27年度では実オフィスを対象に観葉植物が執務者の心理・生理反応およびプロダクティビティに及ぼす影響を明らかにするために,オフィスの知的生産性測定評価法(SAP)を基にした執務者に対するアンケート,各種生理量の測定,ならびに環境価値評価を実施する必要がある。 (3)グリーンアメニティ効果の経済性評価法の開発に関する課題 前年度に開発した観葉植物のグリーンアメニティ効果の経済性評価モデルに必要なパラメータのチューニングを行い,そのモデルの検証を行う必要がある。
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Causes of Carryover |
平成26年度は,当該年度の研究の実施に必要な物品費や謝金が確保できたため,当初の計画段階で予定していた研究分担者の近藤の研究費の支出がなかったこと,により約40万円の次年度使用額が生じることになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は,当該年度の当初予算に平成26年度の繰り越し金を合わせて,研究計画を見直し,オフィスにおける観葉植物のグリーンアメニティ効果に関する現地調査の拡大と研究成果の発表機会を増やすことで研究計画をより加速したい。
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Research Products
(5 results)