2014 Fiscal Year Annual Research Report
溶融塩化物中でのマグネシウム,リチウム電解用陽極材料の新視点からの開発
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26289282
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
竹中 俊英 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (60197324)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森重 大樹 関西大学, 化学生命工学部, 助教 (30530076)
西本 明生 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (70330173)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 金属生産工学 / 反応・分離工学 / 溶融塩電解 / 不溶性陽極 / リチウム / マグネシウム / 黒鉛 |
Outline of Annual Research Achievements |
少量の酸化物を含む溶融塩化物浴で使用可能な不溶極性陽極の開発を目的とし,平成26年度は,LiCl-KCl共晶溶融塩にLi2Oを溶解させた電解浴中で種々の材料を用いた研究を行った. 炭素系材料として,炭素結合構造が陽極反応に及ぼす影響を調べるため,黒鉛化度の異なる数種類の黒鉛,ダイアモンド構造と黒鉛構造を含むDLCをコーティングした黒鉛,および無定形炭素であるグラッシーカーボンを陽極に用いて実験を行った.何れの材料でもガス発生が起こり,非黒鉛電極の方がガス発生がおこりやすいこと,黒鉛化度の影響は小さいことが判った.このガス発生反応により電極が消耗し,発生ガスからCO2が検出された.また,すべての材料で,CO2ガス発生反応に先行するガス発生を伴わず電極が消耗する反応がおこることが確かめられた.これら何れの反応もCl2ガス発生反応に先行していた.これらの結果から,炭素結合構造の制御だけでは目的とする電極を得ることが難しいことが明らかになった.このため,新たな炭素含有電極としてSiCを用いた研究に着手した. 金属系電極として,Ti-Mo合金を用いて研究を行った.顕著な不働態化現象が観察され,表面に酸化物層が形成されることが確かめられたが,電極の溶出を防ぐことはできなかった.そこで,Ti-Mo合金に少量のRuを添加した電極を用いたところ,溶出を防ぐには至っていないものの,溶出量の抑制に効果があることが確かめられた. ニッケルフェライトを用いた研究では,ニッケルフェライトが電流を流さない状態でも用いた溶融塩に溶解することが明らかになった.溶解速度はそれほど大きくはないものの,FeやNiが溶解するとLiやMgより電析しやすく,電析物金属に混入し,特にMg金属電析においては致命的な問題となる.このため,ニッケルフェライトの使用は断念することにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の進展にあわせて研究計画を多少修正したが,予め想定した範囲内である. 最も汎用されており安価な黒鉛・炭素材料の組織制御や改質で,目的とする電極が得られれば望ましいが,平成26年での研究の過程で,これらの材料は比較的低温のLiCl-KCl溶融塩浴でもかなり消耗し,不溶性陽極とするのは非常に難しいことが確かめられた.より高温のMgCl2系溶融塩浴では陽極材料の損耗が激しくなることが知られており,黒鉛・炭素材料の組織等の影響を調べても目的とする陽極材料の開発にはつながらないと判断した.このため,平成26年度に計画していたMgCl2系溶融塩浴での研究を平成27年度に繰り下げ,かわって平成27年度に予定していた炭素基材料の検討を先行させることにした.但し,このような材料を自製するための環境が整っていないため,比較的入手しやすいSiCを用いて研究を開始した. 金属系電極,セラミックス系電極についてはおおむね研究計画通り研究を行えた.
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Strategy for Future Research Activity |
上記の研究内容の変更はおおむね想定した範囲内にあるが,より研究を推進していく必要性は感じている.特に,Mgの溶融塩電解は本研究の主目的に一つであり,平成27年度は必ず実施する. 炭素系材料は,金属を含浸することにより特性が向上するかを中心に検討を進める.平成26年度に使用したSiC電極も比較対象として用いるが,入手可能なものはバルク焼結体で,電気伝導度が十分でなく,表面性状も粗い.このため,当初の研究計画通り,黒鉛電極に金属をスパッタした後に熱処理する等の方法を試みる. 金属系電極については,少量のRu添加でかなりの効果があることが判った.Ru酸化物の電極材料としての優位性はよく知られるところであり,これらの研究報告を参考にして研究を推進する. ニッケルフェライトの使用が難しいことが明らかになったことが,平成26年度の大きな成果であるとともに,本研究の大きな課題ともなった.そこで,ニッケルフェライトに変わる材料として,高い耐酸化性を有するMoSi2が使用できないか検討する予定である.ただし,SiCと同じく,電導性や表面性状の制御等の課題が大きいものと予想している. 本研究の開始前に予想したとおり,炭素材料,金属材料,セラミックス材料,何れも単独で目的とする不溶性陽極を実現することは難しそうで,それぞれの特長を活かした複合材料を念頭において研究を推進していく予定である.
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Causes of Carryover |
平成27年度に真空蒸着装置の購入を予定しており,研究目的を達成するためには当初申請した性能を有するものが是非とも必要である.また,平成27年度にはRu等の高価な消耗品の購入も予定している.このため,平成27年度に交付予定の予算では物品費を充たすことががかなり厳しいことが予想され,平成26年度に交付された基金の一部を平成27年度の物品費として使用することにした.なお,平成26年度は学内経費で消耗品を購入するようにして,研究に支障がないように所作した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の通り,真空蒸着装置,Ru等の消耗品の物品費として使用する予定である.
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Research Products
(4 results)