2014 Fiscal Year Annual Research Report
液滴パージとレーザー点火によるパルスデトネーション技術の高度化
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26289323
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
遠藤 琢磨 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00211780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
難波 愼一 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00343294)
松岡 健 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40710067)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | エネルギー効率化 / 航空宇宙工学 / 水素 / 熱工学 / 流体工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
主として「パージに必要な最小水供給量決定方法の工学的体系化」と「リトロリフレクターを使った透過光のプラズマへの再投入」を行った。 前者については、爆発性ガスの組成を変えても運転可能なパルスデトネーション燃焼器を製作し、種々の爆発性ガスに対してパージに必要な最小の水供給量に関するデータを取得しつつあるところである。具体的には、4つのガス供給ポートを持つ燃焼器を新たに製作し、1つのポートからエチレン(燃料)を、1つのポートから酸素(酸化剤)を、2つのポートからアルゴン(希釈剤)を供給できるようにし、水供給量を変えつつ運転を試みている。さらに関連研究として、水滴群導入によるパルスデトネーションタービンエンジンにおけるタービン入口温度制御法を開発し、また、パルスデトネーション溶射における溶射粉体の温度・速度のモデル計算を実施した。これらの研究により、パルスデトネーション技術を実用化する際の多くの有用な知見が得られた。 後者については、まず空気を使い、気体中にレーザーを集光してプラズマを生成し、透過光をリトロリフレクターで反射して既に生成されているプラズマに再投入して吸収させ、レーザーの吸収率を増大させられることを実証するとともに、光路長を調整して適切なタイミングで透過光を戻すことの重要性を実験的に示した。レーザーの吸収率は最大で約1.5倍に増大した。さらに、リトロリフレクターによる反射光の集光スポットが入射光のそれよりも大きいことを見出し、この現象を利用することでランダム位相板を用いなくても低温の大規模プラズマを生成できる可能性を見出した。また、水素・空気混合気を用いてレーザー点火実験を行い、透過光の再投入によって初期火炎核の振る舞いが大きく影響されることを実験的に見出した。これらの研究により、レーザー点火をパルスデトネーション燃焼器に適用する際の重要な基礎的知見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
液滴パージによるパルスデトネーション技術の高度化に関しては、当初計画よりもやや遅れ気味である。これは、新たに製作したパルスデトネーション燃焼器が大きな熱負荷によって不具合を起こしたためで、その改修に時間がかかったからである。一方、レーザー点火によるパルスデトネーション技術の高度化に関しては、当初計画よりもやや進んでいる。特に、リトロリフレクターによる反射光の集光スポットが入射光のそれよりも大きいことを利用すると、当初計画していたランダム位相板の導入を実施しなくても低温の大規模プラズマを生成できる可能性を見出したことは意義深く、今後の研究を計画よりも前倒しして進め得る可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、引き続き爆発性混合気の組成を変えつつパルスデトネーション燃焼器の運転を試み、「パージに必要な最小水供給量決定方法の工学的体系化」を進める。また、パルスデトネーション燃焼器の重要な応用分野である溶射に関し、ステージを使って基材を動かしてジルコニア(高融点セラミックス)の大面積均一溶射を達成する。また、レーザー点火に関しては、「リトロリフレクターを使った透過光のプラズマへの再投入」が初期火炎核形成過程に与える影響を、流れ場の観察および分光計測により定量化する。また、流れのある場でのレーザー点火実験を、計画を前倒しして進める。平成27年度はシングルパルスモードで実験を行い、レーザー照射条件をある程度まで最適化し、平成28年度にマルチパルス実験を行えるようにする。
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