2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26289354
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
杉山 貴彦 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90353440)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | リチウム / 置換クロマトグラフィー / ブランケット / 同位体分離 / コアシェル型吸着剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度からコアシェル型の担体の調製に取り組んだが,吸着剤の担体として利用可能なものはできなかった.そこで,市販のUHPLC用のコアシェルビーズから利用可能なものを選定した.具体的には,Phenomenex社製のKinetex 5 μm,HILICを採用した.対照試料として,全多項性のPhenomenex社製Luna 5 μm,HILICも用意した. 大環状化合物としては,Benzo-15-crown-5(B15C5)を選定した.多孔質シリカビーズへのB15C5の担持について予備実験を行った.水に非混和で,B15C5を十分に溶解する溶媒として,キシレンを選定した.典型的な調製方法は次の様である.まず,0.1 gのB15C5を0.5 gのキシレンに溶解させる.キシレンを適量のアセトンで希釈する.次に,5 gの多孔質シリカビーズを,B15C5のキシレン溶液に浸し,含浸させる.最後に,ロータリーエバポレータを用いて40℃に加熱し,不要なアセトンを除去する.多孔質シリカビーズとしては,粒径が60,100,250 μmの3種類を用いた. 調製した吸着剤を,内径4 mm,有効充填長250 mmのカラムに詰めて,LiCl水溶液を用いて,前端分析法により,充填カラムのHETP値を評価した.HETP値は,吸着剤の粒径とともに小さくなり,粒径が60 μmの場合に0.16 mmと非常に小さな値を得た.以上により,吸着剤の調製技術が整えられた. 平成26年度に開発した数値シミュレーションによれば,粒径5 μmのコアシェル粒子を用いた場合,HETP値は10 μmと評価された.実験上は,微小粒子を充填した充填塔に特有の軸方向混合が影響を及ぼし,数値シミュレーションの予測値に比べて大きな値になると考えられる.平成28年度には,粒径5 μmの吸着剤を調製し,実験によりHETP値を得る予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コアシェル型の担体を新規に調製することに時間がかかり,結局,実用に耐えるものは調製できなかった.コアシェル型シリカビーズとしては,市販のものを選定して用いることとし,コアシェル型吸着剤を完成させる.平成27年度は,使用できそうなコアシェル型シリカビーズを選定し,調達できたことと,シリカビーズへのB15C5の担持方法を確立できたことから,平成28年度内に,コアシェル型吸着剤を完成させる目処が十分に立ったため,自己判定として,「やや遅れている」とした.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度までの進捗状況で述べたように,コアシェル型吸着剤を完成させる目処はたった.また,置換クロマトグラフィー法によるリチウム同位体分離の数値シミュレーションについては,既に完成させ,計算結果を利用しながら実験を進めているところである.したがって,このままの進捗で,当初予定していた研究内容を平成28年度内に完了できる見通しである. 平成28年4月に参加したトリチウムの国際会議(TRITIUM2016,米国,チャールストン)において,本研究の進捗を報告したところ,ドイツ・カールスルーエ研究所の研究者から反響があり,今後,情報交換を進めるとともに,リチウム同位体分離への置換クロマトグラフィー法の適用性を評価してゆくこととなった.
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Causes of Carryover |
コアシェル型多孔質シリカビーズの調製に試行錯誤を重ねたため,計画通りの利用とはならなかった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
コアシェル型吸着剤の調製に目処が立ったため,調製用の高価な薬剤が必要となることから,平成28年度に繰り越しても,全て消費される予定である.
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