2015 Fiscal Year Annual Research Report
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26290003
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
竹内 秀明 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (00376534)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 健雄 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (10201469)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 社会行動 / 行動発達 / 脳機能地図 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 終脳の体系的な細胞系譜解析 本年度はこれまでに開発した神経胚期のごく少数の幹細胞を遺伝的にラベルする実験系を用いて、子孫の細胞群(細胞系譜単位)を成体脳で可視化して体系的な細胞系譜解析を行った。終脳全体を3D撮影するため全脳を透明化して光シート顕微鏡で撮影する手法と、3D脳アトラスを「標準化」し、撮影条件によってサンプル間で生じたずれを補正する計算手法を確立した。70個体のサンプルを解析した結果、終脳は片半球40個の細胞系譜単位から構成されていることが示され、3D脳アトラスにすべての細胞系譜単位をマップすることができた。 (2) 社会認知を定量する新規行動実験系の確立 本研究では生育ステージ(幼魚から成魚)、性差、魚種を問わずに視覚的な社会認知能力を定量化する行動実験系を確立した。この行動実験系の確立により、個体認知能力、同種認知能力に加え、成長に伴う認知能力の変化を定量できるようになった。方法は直径の異なる二つの円形透明水槽を同心円状に配置し、外側と内側に魚を一匹ずつ入れた。2個体の距離の経時変化を記録した結果、この条件では「内側の魚」が「外側に魚」に壁越しに近接する行動を示すことを見出した。成魚メダカは異種(ゼブラフィッシュ)には近づき行動を示さなったが、メダカ(同種)にのみ近づき行動を示した。一方、稚魚メダカはゼブラフィッシュ及びメダカの両方に近づき行動を示した。このことから、メダカの同種認知能力は成長に伴って獲得される可能性がある。さらに性成熟したメスメダカは「見知ったオス」に対する選択的な近づき行動が、放卵前に見られたが、放卵後には選択性を失った。このことから本実験系で個体認知能力やメスの性的動機を検定できることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
社会脳の機能地図を包括的に作成するためには、脳全体を解析可能な領域の数に分解し、領域毎に社会行動との関連を解析する必要がある。本年度は細胞系譜に注目することで終脳を40個の脳領域に分割することができた。今後は各細胞系譜単位に神経毒素を発現することで、社会脳の機能地図を包括的に作成する。さらに本年度、社会認知を定量するシンプルな実験を確立に成功したため、今後の行動検定が迅速にできるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は各細胞系譜単位に神経毒素を発現して、本年度確立した行動実験系を用いて社会脳の機能地図を包括的な作成を実施する。
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Causes of Carryover |
昨年度、平成28年3月に実施予定であったCRISPR/Cas9法の進行が一ヶ月遅れてしまい、CRISPR/Cas9に用いるガイドRNAの外注を平成28年4月に実施したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
CRISPR/Cas9に用いるガイドRNAの外注に用いる。
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