2015 Fiscal Year Annual Research Report
ヒドロゲナーゼ成熟化における金属クラスター組み込みの分子機構
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26291012
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三木 邦夫 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (10116105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 聡 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (50432357)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 構造生物学 / 成熟化タンパク質 / X線結晶解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,[NiFe]ヒドロゲナーゼの成熟化ではたらくHypタンパク質群を対象に,その作用過程で過渡的に形成される複合体状態を中心に構造解析を行い,金属クラスター組み込みなどの成熟化過程の分子機構を明らかにすることを目的としている. HypAB複合体については,これまでに用いた阻害剤ATPγSの他に,分解されないAMPPCPを用いて複合体を調製し,またNiの存在下,非存在下など複数の状態での構造解析を行うことで,より詳細なNi組み込みの機構を明らかにした.HyhL-HypA複合体については,結晶化条件や凍結条件の最適化を行うことで,3.3Å分解能の完全な回折データを収集することができた.HyhL-HypC複合体についても,安定した複合体形成の条件検討を行い,得られた複合体試料について結晶化を行った. Ni供給タンパクについては,引き続き候補タンパク質の探索を行った.これまでに行ってきたThermococcus kodakarensisの菌体抽出液を用いた結合実験に加えて,新たにNi結合モチーフに基づくアミノ酸配列からの検索も行い,その結果見つかった候補タンパク質に対しては構造解析も行った. プロテアーゼHybD(申請書のHycIより名称変更)については,明らかにした構造から得られた情報に基づいて,計算的手法によって金属結合部位の予想を行った.並行して,HyhL-HybD複合体を調製してその結晶化にも取り組んだ.その際,安定した複合体を調製するために,HybD単独の構造から予想した活性残基を置換した変異体も作成した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HypAB複合体については,構造解析と生化学的解析から,HypAB複合体がNiを捉えるメカニズムを解明した.これらの成果をまとめて論文を出版した.HyhL-HypA複合体については,3.3Å分解能の完全な回折データを収集した.Ni供給タンパクについては,様々な方向から候補タンパク質の検索を行っている.HybDについても,構造解析の結果から金属結合部位の予想を行った.その成果をまとめて現在論文投稿中である.
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Strategy for Future Research Activity |
HyhL-HypA複合体やHyhL-HypC複合体については,引き続き安定な複合体の調製ならびに結晶化条件や測定条件の検索を行い,より高分解能での回折データ収集を目指す.Ni供給タンパク質については,引き続き候補タンパク質の検索を行う.候補タンパク質の遺伝子を破壊したT. kodakaraensis株も作製し,実際にこのタンパク質がヒドロゲナーゼ成熟化機構に与える影響をin vivoで解析する.HyhL-HybD複合体については,HyhLのC末端ペプチドやHybD変異体を用いることも含めて,引き続き複合体の調製や結晶化条件の検索を行う.
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Causes of Carryover |
本研究で対象としている金属クラスター久組み込みに関与する過渡的な複合体のうち,複合体調製が難しいものについては,共発現などの方法を再検討することとしたため,本年度はそれを重点的に行い,複合体調製,結晶化,構造解析の一部は次年度に行うこととした.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
複合体調製,結晶化,構造解析を重点的に行うために,博士研究員を雇用して迅速かつ強力に遂行する計画である.
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