2016 Fiscal Year Annual Research Report
体脂肪分布の多様性の形成と代謝循環機能:日本人小児一般集団の大規模追跡研究
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26291100
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
甲田 勝康 近畿大学, 医学部, 准教授 (60273182)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 晴信 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (10322140)
藤田 裕規 近畿大学, 医学部, 講師 (10330797)
伊木 雅之 近畿大学, 医学部, 教授 (50184388)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 疫学 / 小児 / 成長 / 体脂肪 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来、体脂肪の分布様式はウエスト・ヒップ比などで間接的に評価されてきたが、近年開発された二重エネルギーX線吸収法(DXA法)は、直接的に体脂肪分布様式を測定できる。本課題では、「日本人小児一般集団の大規模体組成追跡研究」の部分研究として、体脂肪分布を測定し、テクノ環境への適応の結果として発育期に形成される体脂肪分布の多様性の形成要因を明らかにする。さらに、体脂肪分布様式が糖・脂質代謝機能や循環器機能に及ぼす影響についても検討する。 福島県喜多方市、静岡県三島市、静岡県浜松市、兵庫県淡路市において、DXA法を用いた大規模追跡研究が進行している。平成28年度は、この大規模体組成追跡研究の部分研究として、喜多方市の1中学校と、浜松市の1小学校及び同市1中学校において、ベースラインおよび追跡調査を行い、新たに583名の体脂肪等のデータを得た。 体脂肪の測定は、本研究グループの研究協力機関が管理するQDR4500A(DXA法測定装置)車載バスを各地に派遣して行った。上腕、体幹、下肢の部位別に脂肪量を測定し、体脂肪の分布様式は、体幹・四肢脂肪比、体幹・下肢脂肪比で評価した。また、血圧、生活習慣などのデータも入手した。本研究への参加については、研究の目的、予想される結果、受診者の受ける利益と不利益などを文書で説明し、署名をもって承諾を得た。本研究は近畿大学医学部倫理委員会の承認のもとに行った。 小学5年生であった者の3年後の追跡調査においては、比較的痩せた小児において、ベースラインでの体脂肪分布が体幹部に偏っているほど追跡時の血圧が高値を示すことが明らかになった。また、小学5年生の横断解析では、体幹部の脂肪分布と血清アディポネクチンの間に負の関係がみられた。さらに、3年間の追跡研究においては、比較的痩せた児童において、中心型体脂肪分布と血糖値の間に関連性がみられる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題においては、交付申請時の研究計画に従い平成28年度はDXA法による全身型体脂肪測定装置搭載バスを複数の学校に持ち込み、ベースライン調査を行うとともに追跡調査を行なった。その結果、年度内に予定していた解析対象者数が得られた。また、得られたデータの一部を解析し、一定の知見を得た。研究組織や研究方法は交付申請の内容と相違なく実施しており、これまで重大な問題は発生していない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度以降も当初の研究計画に従い、平成26から28年度と同様に、DXA法による体脂肪測定装置搭載バスを学校等に持ち込み、小児の体脂肪を測定し、ベースライン調査の対象者として数を増やす。さらに以前から追跡している集団の調査も行う。研究代表者は、各地の学校・保護者・児童生徒と有機的連携がとれており、この有機的関係を駆使して疫学研究を実施する。研究は近畿大学医学部倫理委員会の承認に基づいて実施する。本調査に加えて、平成29年度は本研究課題の最終年度であるため、平成26~29年度に得られた研究データをまとめると共に、研究成果を学会や論文で発表する。
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Causes of Carryover |
年度内に予定していた解析対象者数を得るための体脂肪測定調査が順調に終了し、日程が予定よりも短縮したため、2万円弱の次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、翌年度使用分として請求した研究費として合わせて、英文校正費として使用する。
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Research Products
(8 results)