2014 Fiscal Year Annual Research Report
経口投与で有効な新規神経調節ペプチドの受容システムの分子機構解明
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26292070
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大日向 耕作 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (00361147)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ペプチド / 経口投与 / 抗不安作用 / 脳腸相関 / 迷走神経 / 高架式十字迷路試験 / ダイズβ-コングリシニン / 消化管酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで我々は、食品タンパク質の酵素消化により派生するペプチドフラグメントの中に強力な精神的ストレス緩和作用(抗不安作用)や食欲調節作用を示すものが存在することを見出し、食品成分と神経系の緊密な相互作用を明らかにしてきた。さらに今回、経口投与で強力な抗不安作用を示す食品タンパク質由来の新規ペプチドを発見した。
主要なダイズタンパク質β-コングリシニンを各種消化管酵素で処理し、得られた消化物の情動調節に及ぼす影響をマウス行動試験により評価した。その結果、高架式十字迷路試験により、キモトリプシン消化物が、経口投与で抗不安作用を示すことを見出した。さらに、本消化物中に含まれる11アミノ酸残基ペプチドが、比較的大きい分子量(MW 1260)を有するにも関わらず、経口投与(0.3 mg/kg)で強力な抗不安作用を示すことがわかった。本ペプチドはβコングリシニンαサブユニット(261-271)に相当し、キモトリプシン消化により効率的に生成することを確認した。興味深いことに、腹腔内投与よりも経口投与で効果的に作用を示すことから、その作用点は消化管であると考えられる。実際、本ペプチドの抗不安作用は、迷走神経切除により消失することが判明し、この仮説を支持している。したがって、この11残基ペプチドは、消化管に作用し、そのシグナルが求心性迷走神経を介して中枢に伝達され、抗不安作用を示すものと考えられる。吸収を前提としない脳腸相関による新しい作用機構として興味深い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
経口投与で顕著な効果を示す11アミノ酸残基の抗不安ペプチドを新たに見出し、順調に研究が進んでいる。本ペプチドは、脳腸相関を検討するためのプローブとして極めて有用である。
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Strategy for Future Research Activity |
経口投与で強力な抗不安薬様作用を示す大豆由来の中鎖ペプチドについて作用機構の解明を図る。特に、脳腸相関やメディエーターについて詳細に検討するとともに、構造-活性相関を明らかにする。
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Causes of Carryover |
機能性ペプチドを探索する際に、候補ペプチドを多数合成する必要があったが、これまで得られた構造活性相関情報を活用することで効率的に機能性ペプチドを同定することができたため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新しく発見した機能性ペプチドの作用機構を解明するとともに、類縁体を合成し、腸管に作用するために必要な構造を明らかにする。
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Research Products
(4 results)