2015 Fiscal Year Annual Research Report
百mメッシュの空間解像度を目標とした、北方林の広域炭素収支評価手法の確立
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26292076
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高木 健太郎 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 准教授 (20322844)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 高司 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (20208838)
梁 乃申 国立研究開発法人国立環境研究所, 地球環境研究センター, 主任研究員 (50391173)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 航空機レーザ測量 / 森林炭素貯留量変化 / 森林生態系炭素収支 / 広域評価 / MODIS |
Outline of Annual Research Achievements |
航空機レーザ測量より得られた2014年と2004年の樹冠標高の差として、1 m2メッシュの樹冠高変化を天塩研究林全域(225 km2)に渡って算出し、 1 haメッシュで平均化した。平均化の際には、すべての樹冠高変化データを平均化した場合(I)に加えて、増加している箇所のみの平均化(II)と、減少している箇所のみの平均化(III)を行った。樹冠高から炭素貯留量を推定する式を応用して、1 haメッシュの樹冠高変化を森林炭素貯留変化量に変換した。(I)~(III)によって得られた炭素貯留変化量はそれぞれ、正味貯留量変化、森林の成長量、樹木から土壌への炭素の移動量と定義した。研究林全域の10年間の正味の森林炭素貯留変化量は、+35~-52 MgC ha-1の範囲であり、大きな空間的ばらつきがあることが明らかになった。正味変化量の平均値は4.05±6.46 (SD) MgC ha-1、森林の成長量の平均値は11.7±4.79 MgC ha-1となり、微気象観測研究より報告されている、北海道の森林の正味CO2交換量と同等の範囲にあった。樹木から土壌への炭素の移動量は8.99±5.43 MgC ha-1となり、既存の研究例と同等であった。 苫小牧落葉樹若齢林と天塩研究林カラマツ若齢林において、渦相関法とチャンバ-法を用いて生態系の炭素収支観測を継続した。落葉樹若齢林では、撹乱後11年経過してもCO2の年収支はソースのままであった。 カラマツ若齢林では、土壌呼吸量を微生物呼吸量と根呼吸量に分離して評価した。無雪期積算の土壌呼吸量(1167±375 gC m-2)は、同期間の生態系呼吸量の89%であった。一方、無雪期積算の微生物呼吸量は520±252 gC m-2であり、同時期の土壌呼吸量の45%であり、根呼吸量は残りの55%を占めていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請段階においては、予算の制限のために、航空機レーザ測量は限定された面積(30~50 km2)で行い、航空写真三角測量によって、対象範囲を拡大することを計画していたが、天塩研究林全域の航空機レーザ測量データを購入することができたので、対象範囲全域(225 km2)の炭素貯留量変化を高精度で評価することが可能となった。樹冠高変化を1 haメッシュで平均化する際には、すべての樹冠高変化データを平均化した場合(I)に加えて、増加している箇所のみの平均化(II)と、減少している箇所のみの平均化(III)を行うことによって、森林の正味炭素貯留量変化に加えて、森林の成長量や樹木から土壌への炭素の移動量を評価することができた。正味変化量、成長量、樹木から土壌への炭素移動量のそれぞれの値が、渦相関法やチャンバ法を用いた観測値と整合性があった。以上より年次計画の予定通り研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
天塩研究林カラマツ若齢林と苫小牧落葉樹若齢林において、渦相関法とチャンバ-法を用いて生態系の炭素収支観測を継続し、既存の研究成果を加えて、航空機レーザ測量によって得られた、正味炭素貯留量変化、森林の成長量、樹木から土壌への炭素の移動量の精度検証を引き続き行う。正味貯留量変化、森林の成長量、樹木から土壌への炭素の移動量それぞれについて、これらの値とMODIS植生指標(正規化植生指標(NDVI)、Green Ratio(GR)、Enhanced Vegetation Index(EVI))との関係を500 m ×500 mの空間解像度で明らかにすることにより、時空間スケールの拡大の可能性を示す。 天塩研究林全域の23,502個の1 haセルを対象として、炭素貯留量変化の空間的なばらつきを標高、傾斜角、斜面方位、地質、植生タイプ、森林バイオマス量、樹冠構造等の環境要因を用いて説明する。地形要因や森林バイオマス量の評価精度を上げるために、観測点密度の高い2014年のLidar観測結果を利用して、地面標高を解析する予定である。数量要因については、そのすべてを説明変数とする線形モデルを作成し、カテゴリー要因については、多重比較検定を行うことによって、各要因が森林炭素貯留量変化に与える影響を明らかにする。得られた成果をとりまとめて、引き続き国内学会で発表するとともに、論文を投稿する。
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Causes of Carryover |
「葉緑素基準サンプル(42228円)」については、平成28年3月22日に納品を完了したが、支出が平成28年度となったため、次年度使用額が生じた。 残りの377772円については、本年度予定していた論文投稿が次年度に持ち越しとなったため、英文校正・論文投稿料の支出がなくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
「葉緑素基準サンプル(42228円)」を平成28年3月22日に納品完了済み、同年4月に支出予定。残りの377772円については、英文校正・論文投稿料としての支出を予定している。
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Research Products
(8 results)
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[Presentation] Semi-empirical GPP estimation of East Asian forests using MODIS vegetation indices2015
Author(s)
Takagi, K., Ueyama, M., Ide, R., Ichii, K., Ono, K., Hirata, R., Saigusa, N., Hirano, T., Kwon, H., Hong, J., Zhang, L.-M., Li, S.-G., Wang, H.-M., Han, S., Zhang, Y.-P., Asanuma, J., Gamo, M., Maeda, T., Murayama, S., Machimura, T., Nakai, Y., Ohta, T., Saitoh, T.M. and Takahasi, Y.
Organizer
Joint Conference AsiaFlux Workshop 2015 and ISPRD TC WG VIII/3: Weather, Atmosphere and Climate studies
Place of Presentation
Indian Institute of Tropical Meteorology, Pune, India
Year and Date
2015-11-27
Int'l Joint Research
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[Presentation] Large scale evaluation of decadal forest biomass changes from repeated airborne Lidar measurements in northern Japan2015
Author(s)
Hirayama, K., Takagi, K., Saigusa, N., Okada, K., Sameshima, R. and Oguma, H.
Organizer
Joint Conference AsiaFlux Workshop 2015 and ISPRD TC WG VIII/3: Weather, Atmosphere and Climate studies
Place of Presentation
Indian Institute of Tropical Meteorology, Pune, India
Year and Date
2015-11-25
Int'l Joint Research
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