2015 Fiscal Year Annual Research Report
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26293005
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
椿 一典 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (50303897)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | スペルミジン / スペルミン / 呈色応答 / 蛍光色素 / エネルギー移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)生体内ポリアミンの定量を目指した機能性色素の研究:これまでの研究から、生体内ポリアミンのうち、スペルミジンとスペルミンの二種のみを他のアミンと区別し、選択的に呈色応答する分子の創出に成功している。次の課題として、スペルミンとスペルミジンを区別し呈色応答する分子の開発に取り組んだ。目的達成のためには、スペルミジンとスペルミンの分子長が異なる点に着目し、呈色応答分子において、それらとの結合する二箇所の部位の距離を伸張したスルホンフタレイン型の分子を合成した。この分子はスペルミンとは橋掛け錯体の形成が可能であり、分子長の短いスペルミジンとは十分な橋賭け錯体を形成することが困難であると考えた。実際に呈色応答を評価したところ、想定どおりに機能することわかり、錯体形成の差が呈色強度に反映され、両者を区別することに初めて成功した。またスペルミンとの呈色応答は可視領域の外にあるため、肉眼では呈色が弱まるように監察されることもわかった。まだスペルミジン/スペルミンの選択性に改善の余地はあるものの、研究の進展上大きな一歩を踏み出すことが出来た。 (2)蛍光色素の開発:新たな蛍光色素を開発するため、キサントンやキサンテン骨格を中心に合成研究に取り組んだ、その結果、反応の副生成物としてキサントンとキサンテンが直結した蛍光色素をみいだした。 (3)あらたな光開裂反応の発見:エキソアルキリデンキサンテン類が、通常の室内灯照射下、酸素と極めて容易に反応し、キサントンを与えるトリッキーは光開裂反応を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先の概要に示した実績の内、(2)と(3)については研究論文として纏めることができた。さらに(1)についても、論文としての成果報告や、更なる応用を試みる段階に入っている。それに加えて、更に新しい骨格の蛍光性分子の創出にも取り組んでおり、順調に研究は進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)については、選択性の向上を目指すとともに、実用的な使用を視野に入れた研究にも取り組んでゆきたい。 (2)については、従来の蛍光色素とはコンセプトや構造が異なるオリジナリティーの高い化合物の創出を目指したい。特に生体を指向し、水中で十分な性能をもつ蛍光色素の開発を狙ってゆく。
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Causes of Carryover |
ほぼ研究計画どおりに進展しており、全額有意義に使用する予定であったが、試薬の部分で若干の誤差を生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試薬購入費として、より有意義に使用する。
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