2014 Fiscal Year Annual Research Report
巨核球の増殖分化を担うトロンボポエチン受容体の活性化機構の分子構造基盤
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26293009
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
黒木 良太 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 量子ビーム応用研究センター, 研究主席 (30391246)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | サイトカイン受容体 / 動物細胞発現 / 活性化機構 / 変異導入 / 細胞増殖 / 血小板 |
Outline of Annual Research Achievements |
H26年度は下記の2つの項目を実施した。 1)Cys/Ala変異型TPOR(C/A-TPOR)の骨髄細胞への発現とTPOリガンドによる細胞増殖シグナルの確認 細胞外領域に存在する遊離型Cys残基をAlaに置換したTPOR全長遺伝子(C/A-TPOR)を、骨髄由来の細胞株であるFDC-P2細胞に導入して発現させ、TPOリガンド濃度に対する細胞増殖を定量的に評価し、同じくFDC-P2細胞に発現させた野生型TPORに対するTPOによる細胞増殖を検討し、細胞応答におけるC/A-TPORと野生型TPORの同等性を確認することができた。本実験で用いたリガンドであるTPOは、大腸菌発現した試料をリフォールディング後、イオン交換クロマトグラフィーにて精製して用いた。 2)HEK293細胞を用いたC/A-ecTPORの大量発現とリガンドカラムによる精製 遊離型Cysを除去したTPORの細胞外領域(C/A-ecTPOR)の発現を、動物細胞(HEK293細胞)を用いて実施した。目的のC/A-ecTPORは、培養液中に主要な蛋白質として発現した。発現させたC/A-ecTPORを培養上清から精製するために、アフィニティークロマトグラフィー担体に結合させるリガンド候補を検討した。TPOそのもの、および数種類のTPORモノクローナル抗体を用いて精製の予備検討を行ったところ、いずれのリガンドも効果的に目的C/A-ecTPORを濃縮することができた。予備的な精製によって、C/A-ecTPORの精製にはTPORモノクローナル抗体カラムを用い、高い純度の試料を確保できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
組織改革の影響で事務作業が増えたものの、すでに予備検討を何度も繰り返しており、計画通りに進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
解析対象となるC/A-ecTPOR試料をできるだけ大量に高い純度で精製を行う。現在、培養上清に発現中のC/A-ecTPORは、研究目的を達成するために十分な量であるが、不安定な蛋白質であるため、生成中における不活性化の懸念がある。精製をなるべく短期間で実施するとともに、確保した試料を分子間相互作用解析や立体構造解析に供し、トロンボポエチンリガンドによる受容体の活性化機構の解明を目指す。 試料の不安定な性質から実験に十分な試料の確保ができない場合には、再度大量培養を実施し試料を補う。
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Causes of Carryover |
機構内部の改革に対応するための業務が多数発生し、計画中であった国際会議参加を次年度以降に延期したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
米国 Protein Society Annual Meetingなどへの参加を検討中。 その他、本研究の推進に必要な放射光施設利用や、外部機関での分子間相互作用実験の実施を予定している。
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Research Products
(1 results)