2014 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞由来microRNAによる糖尿病性血管障害機構の空間統合的解明
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26293130
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
山口 宗一 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (20325814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 征郎 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 特任教授 (20082282)
大山 陽子 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 特任助教 (20583470)
竹之内 和則 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 医員 (30646758)
清水 利昭 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50468055)
橋口 照人 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (70250917)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マイクロRNA / 血管内皮細胞 / 一酸化窒素 / TP53 / エクソゾーム / 単球 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、血管炎症の発症機序にマイクロRNA(miRNA)の関与があることを証明しようと試みた。特に、血管内皮細胞に注目して、その血管内皮細胞のmiRNAが炎症の厳しい環境下でどのように変化するのか、血管内皮細胞の機能との関係、そして、血中を循環しているmiRNAに血管内皮細胞由来のmiRNAは寄与しているのか、に焦点を当てて研究を進めた。 (1)p53の活性化により発現が増強する血管内皮細胞のmiRNAを検索した。研究申請者は2010年発表の論文(PNAS)で大腸癌細胞のmiRNAのスクリーニングをし、p53で誘導されるmiRNAについての経験をもとに選定したmiR-34a、miR-107、miR-103、miR-503など数種類のmiRNAが血管内皮細胞での動態について検討した。これらのmiRNAにはp53プロモーターが存在する。次にこれらのmiRNAが、血管内皮細胞の一酸化窒素(NO)産生を制御するかを検討した。中でもmiR-34a、miR-503はNO合成酵素(eNOS)の発現を蛋白質レベルでコントロールしうることを見出した。これらは来年度もさらに研究を進めていく予定である。 (2)miRNAは血管内皮細胞から分泌される。これは、小胞依存性のもの(エクソゾーム内在miRNA)と非依存性のもの(キャリア蛋白質結合miRNA)がある。血管内皮細胞特異的miRNAであるmiR-126はエクソゾーム内在性のmiRNAであり、TNFalphaなどサイトカイン刺激により培養上清中に検出できる。100,000Gの超遠心により単離したエクソゾーム中にmiR-126はそのほとんどが含有されることを証明した。次に、血管内皮細胞から放出されたmiR-126が、単球系細胞に取り込まれることを確認できた。共培養により、通常単球系細胞には発現がきわめて弱いmiR-126をqPCR法により検出できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、2つの課題についておおむね期待通りの結果が得られた。初年度なので、研究体制と試薬などのセットアップの時間のため、研究実施の計画自体をやや簡潔化して効率的に研究を進めた。(1)の課題は、これまでの申請者の知見を血管内皮細胞に応用することでスムーズに研究を遂行し、血管の炎症により変化する血管内皮細胞由来のmiRNAを検出することに成功し、またmiRNAによる血管内皮細胞の機能変化を観察することができた。順調な進展と考える。(2)の課題は、エクソゾームの培養細胞からの放出を研究協力者らの電子顕微鏡による観察、超遠心によるエクソゾームの回収に成功し、そのエクソゾームから血管内皮細胞のmiRNAをPCR法で検出できたので、順調な進展と確信する。全体として、平成27年度研究への橋渡しとなる基盤となる結果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究進行状況は概ね良好であったので、平成27年度の研究計画の大きな変更は加えない。初年度と同様に2つの柱で研究を進める予定である。(1)血管内皮細胞の炎症性変化に関与するmiRNAの中でもmiR-503とmiR-107の二つに絞って、その機能を分子学的手法により詳しく解析していく。特に、初年度知見を得たNO合成系への影響の解析からスタートする。(2)血管内皮細胞由来miRNAが単球の炎症性変化を制御するメカニズムを探る。単球のサイトカイン産生能、単球の性状変化、マクロファージへの分化などに外来性のmiRNAがどれほど寄与するかを検討する。また、時間的に余裕があれば、血小板へのmiRNAの影響も研究対象として組み入れていく予定である。初年度で実験体制は構築されたので、平成27年度は速やかな研究の遂行が期待できる。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Upregulation of non-β cell-derived vascular endothelial growth factor A increases small clusters of insulin-producing cells in the pancreas.2014
Author(s)
Takenouchi K, Shrestha B, Yamakuchi M, Yoshinaga N, Arimura N, Kawaguchi H, Nagasato T, Feil R, Kawahara K, Sakamoto T, Maruyama I, Hashiguchi T.
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Journal Title
Exp Clin Endocrinol Diabetes
Volume: 122(5)
Pages: 308-315
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Syntaxin-binding protein STXBP5 inhibits endothelial exocytosis and promotes platelet secretion.2014
Author(s)
Zhu Q, Yamakuchi M, Ture S, de la Luz Garcia-Hernandez M, Ko KA, Modjeski KL, LoMonaco MB, Johnson AD, O'Donnell CJ, Takai Y, Morrell CN, Lowenstein CJ.
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Journal Title
J Clin Invest
Volume: 124(10)
Pages: 4503-4516
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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