2016 Fiscal Year Annual Research Report
「心の理論」の脳基盤を介した自閉症の病態解明およびサルの自閉症モデル動物の作成
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26293261
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
染矢 俊幸 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50187902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 功 新潟大学, 医歯学系, 教授 (60282620)
飯島 淳彦 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (00377186)
江川 純 新潟大学, 医歯(薬)学総合研究科, 特任准教授 (80648527)
川嵜 圭祐 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (60511178)
北村 秀明 新潟大学, 医歯(薬)学総合研究科, 非常勤講師 (00361923)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 心の理論 / 皮質脳波 / 脳磁図 / 拡散テンソル画像 |
Outline of Annual Research Achievements |
A.ヒトにおける非言語的誤信念課題中の脳活動および視線の同時計測:心の理論の有無を言語的教示なく視線計測で定量的に判別する非言語的誤信念課題を脳活動(脳磁図)と視線を同時計測できるようにプログラムしパイロットスタディを行った。しかし、従来の計測解析法である加算平均法では脳活動の差を検出するのに数時間の撮像時間が必要であることが判明したため、近年開発された繰り返しの撮像を必要としない「空間フィルタ法」での計測解析に切り替えてセッティングを行っている。その間、心の理論の前提となると考えられている「共同注視」の脳基盤についても、加算平均法で計測解析が可能な非言語課題である視線矢印課題をプログラムしてセッティングを行った。また脳磁図計測に先行して脳磁図電流源推定のための位置決めMRI撮像(T1強調画像)が必要であるが、同時に拡散テンソル画像(DTI)の撮像を追加して現在までに自閉スペクトラム症患者27人、健常対象者5名の撮像を行った。健常対象者のDTIデータが20名に達したところで比較解析を行い、脳磁図所見と合わせて心の理論の基盤となる脳機能回路を同定する。 B. マカクザル(サル)における非言語的誤信念課題中の脳活動および視線の同時計測:サルを用いた非言語的誤信念課題の脳基盤研究では、我々が注目している脳神経経路である視床枕と内側前頭前野への投射の存在を確認した。また2体のサルに「非言語的」誤信念課題を施行し注視点計測を行い、他者の誤信念の理解に基づくと考えられる注視を同定した。最終年度は神経回路を選択的に遮断するためにDREADD(Designer Receptors Exclusively Activated by Designer Drug)を用いて、神経回路を選択的に遮断して行動表現型の変化を観察し、その回路が心の理論能力の基盤となる回路であることを確認する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「A.ヒトにおける非言語的誤信念課題中の脳活動および視線の同時計測」においては、脳磁図の計測解析方法は現在発展途上の状況であり、また非磁性体注視点計測装置を用いて注視点を同時計測する試みは本邦で経験者はおらず試行錯誤を繰り返した現在の計測開始まで大変時間がかかった。「B. マカクザルにおける非言語的誤信念課題中の脳活動および視線の同時計測」について、行動実験はほぼ予定通りに施行できたが、脳回路の選択的遮断方法をよりウイルス二重感染法から効率的に行えるDREADD法に変更したため、準備にやや時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
「A.ヒトにおける「非言語的」誤信念課題中の脳活動および視線の同時計測」は平成28年度より日本臨床脳磁図コンソーシアムのスーパーバイスを受けつつ調整し、課題や計測解析方法の準備が整った。脳磁図電流源推定のための脳位置決めMRIはすでに施行しているが、同時に拡散テンソル画像撮影を追加して形態的な解析を行った。これにより形態的解析と機能的解析の所見を合わせることにより、より妥当性の高い結果を得ることができる。 「B. マカクザルにおける「非言語的」誤信念課題中の脳活動および視線の同時計測」においては、脳回路の選択的遮断の方法を変更したものの、概ね計画通りに進行している。
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Causes of Carryover |
脳磁図およびMRIの被験者が目標数に達せず、被験者謝金分に余分が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
被験者謝金として使用する。
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Research Products
(6 results)