2015 Fiscal Year Research-status Report
細胞骨格制御因子をターゲットとした創傷治癒機構の解明
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26293380
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
久保 盾貴 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00362707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細川 亙 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20181498)
金澤 成行 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 招へい教員 (50506243)
河合 建一郎 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (80423177)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 創傷治癒 / ケロイド |
Outline of Annual Research Achievements |
皮膚線維芽細胞を用いて、細胞骨格制御因子の活性化を観察した。Rhoファミリー低分子Gタンパク質のなかでも、RhoAに着目し解析を行った。 まずTGF-βを用いて、皮膚線維芽細胞が筋線維芽細胞へ、文献通りに分化するかを確認した。Real time PCR、ウエスタンブロッティング、免疫染色法を用いて、筋線維芽細胞のマーカーであるα-SMAの発現を確認したところ、TGF-β刺激により皮膚線維芽細胞はかなり高率で筋線維芽細胞へ分化することが確認された。また、TGF-βはRhoAを活性化させることも判明し、RhoAシグナルの下流にあるRho-kinaseの阻害剤であるY-27632を同時に添加したところ、TGF-βによる分化誘導が抑制された。すなわち、TGF-βによる皮膚線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化誘導にRhoAが関与することが判明した。 次に、TGF-β以外に創傷治癒機構においてRhoAに影響する因子として、エンドセリン‐1(ET-1)に着目した。ET-1は強力な血管収縮剤であるだけでなく、創傷治癒反応を介して様々な臓器の線維化に関与することが報告されているが、皮膚の創傷治癒に関する報告は未だ少ないからである。まず、TGF-βと同様、皮膚線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化能に影響するかについて、筋線維芽細胞のマーカーであるα-SMAの発現を調べた。その結果、TGF-βほどは強くはないものの、ET-1でもα-SMAの発現が増強されることが確認された。さらに、ET-1はRhoAを活性化させ、Rho-kinaseの阻害剤であるY-27632と同時投与すると、ET-1によるα-SMAの発現増強が抑制された。よって、ET-1による皮膚線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化誘導にもRhoAが関与することが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
RhoAが創傷治癒機転において、皮膚線維芽細胞の分化やコラーゲン産生などにおいて重要な役割を担っていることを見出いだした。そして、ケロイドのサンプルで血管新生や血管閉塞が観察されたことがから、血管内皮由来の因子であるエンドセリンー1とRhoAの関連に着目し、実験を進めていった。そのため、予定していたアポトーシス関連の実験が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、皮膚線維芽細胞におけるエンドセリン‐1の創傷治癒機構への関与について、RhoAを中心とした細胞骨格制御因子に注目してさらに解明していきたい。また、TGF-βやET-1によって分化誘導された筋線維芽細胞のアポトーシスについても、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質がどのように関与するのか、研究を推進していく予定である。
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Causes of Carryover |
実験に遅れが出た分、次年度使用額が生じた。また、学内での助成金が獲得できたことも影響している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度に遅れを取り戻す予定であり、全て使用できると考えている。
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