2014 Fiscal Year Annual Research Report
疾患特異的iPS細胞を用いた睡眠時ブラキシズムの発症メカニズム解明と治療薬の探索
Project/Area Number |
26293415
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
馬場 一美 昭和大学, 歯学部, 教授 (80251536)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
美島 健二 昭和大学, 歯学部, 教授 (50275343)
赤松 和土 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60338184)
菅沼 岳史 昭和大学, 歯学部, 准教授 (10196694)
田中 準一 昭和大学, 歯学部, 助教 (40710166)
秋山 智人 昭和大学, 歯学部, 助教 (90710319)
松本 貴志 昭和大学, 歯学部, 助教 (00635039)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 疾患特異的iPS細胞 / 睡眠時ブラキシズム / セロトニン神経系 / 化合物ライブラリー |
Outline of Annual Research Achievements |
睡眠時ブラキシズムに伴う過大な力は顎口腔系に破壊的に作用し、歯科治療の予後を大きく左右するため、その診断・治療法の確立は急務である。本研究の目的は、新たな試みとして睡眠時ブラキシズム特異的iPS細胞を樹立してセロトニン受容体発現神経細胞へと誘導し、疾患由来神経系細胞の表現型の検証と化合物ライブラリーを用いた疾患スクリーニングを行うことである。本研究により、神経細胞レベルでの睡眠時ブラキシズム発症メカニズムが解明され、創薬の基盤となるデータが得られることは確実である。 平成26年度は、昭和大学ヒトゲノム遺伝子解析倫理審査委員会の承認を得た上で、睡眠ポリグラフィー(PSG)に基づいて診断された睡眠時ブラキシズム患者(睡眠時ブラキシズム群)と、同様にPSGに基づいて診断された睡眠時ブラキシズムが認められない被験者(コントロール群)より、それぞれ末梢静脈血を採取した。血液の一部から、ゲノムDNAを抽出し、リアルタイムPCRシステムを用いてセロトニン2A受容体遺伝子(HTR2A)の遺伝子多型の解析を行った。その解析結果をもとに、睡眠時ブラキシズム群とコントロール群からそれぞれ採取した血液を用いて、IPS細胞の樹立を行った。iPS細胞の樹立は、睡眠時ブラキシズム患者群および対照群の末梢血細胞に、京都大学iPS研究所で開発されたエピゾーマルプラスミドもしくはDNAVEC社センダイウイルスベクターを用いて初期化因子を導入することにより行った。神経分化誘導後に様々なサブタイプの神経幹細胞が混在している状態から、睡眠時ブラキシズム感受性細胞と考えられるHTR2A発現神経細胞を濃縮するために、HTR2Aのプロモーター領域下流にGFPを挿入したレポーターレンチウイルスを導入できるよう、ウイルスベクターの調整を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昭和大学ヒトゲノム遺伝子解析倫理審査委員会の承認を滞りなく得て、被験者も問題なく動員することができた。睡眠時ブラキシズムレベルの診断を目的としたPSG検査については、これまでの研究代表者らが行ってきた研究をもとに行っており、スムーズに完了できている。iPS細胞の樹立には、当初、フィーダーフリーを予定して、樹立までの時間の短縮を考えていたが、テクニカルな問題もあり、より確実な成果を得るために、現在、フィーダーありで樹立を行っている。樹立したiPS細胞の品質の検証も徐々に進めている。樹立の進捗状況は問題なく、分担者の協力を得ることで滞りなく進められている。 現在、それぞれの被験者由来のiPS細胞の樹立継代を行いながら、神経幹細胞を含むNeurosphereからセロトニン神経細胞の誘導に取り組んでおり、ウイルスベクターの作成を同時進行で進めることができている。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画に大きな変更はないが、今後も、確実な研究成果を得るために、フィーダーフリーではなく、フィーダーありでiPS細胞の樹立を行っていく予定である。 今後はiPS細胞から効率よくセロトニン神経細胞を誘導できるようにした上で、当初から予定している電気生理学的検討(パッチクランプ法による解析)を行っていく予定である。 徐々に、化合物ライブラリーに登録されている化合物を検索を進め、睡眠時ブラキシズム由来iPS細胞の表現型の回復を可能にする化合物を探索していく予定である。
|
Causes of Carryover |
本年度は、研究倫理審査委員会の承認など、研究環境のセッティングに時間を費やした。研究については、共同研究者である赤松、美島らと協力して行ったため、概ね順調に進んでいるが、iPS細胞培養などに関わる設備については、本学口腔病態診断学講座の設備など、既存のものを使用したため、次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後、樹立したiPS細胞からセロトニン神経細胞を誘導し、セロトニン2A受容体の発現を確認した上で、電気生理学的な解析を進めていく。次年度以降もiPS細胞の継代培養などが必要であり、引き続き細胞培養に使用する予定である。また、予定しているパッチクランプ法の設備のセッティングにも使用していく。
|
-
-
-
-
-
[Presentation] 二重盲検ランダム化比較試験によるクロナゼパムとクロニジンの睡眠時ブラキシズムへの薬剤効果の検証2014
Author(s)
吉田裕哉, 加藤隆史, 葭澤秀一郎, 酒井拓郎, 菅沼岳史, 高場雅之, 小野康寛, 吉澤亜矢子, 石井正和, 栗原竜也, 川名ふさ江, 木内祐二, 馬場一美
Organizer
日本臨床睡眠医学会
Place of Presentation
兵庫
Year and Date
2014-08-01 – 2014-08-03
-
[Presentation] クロナゼパム、クロニジンを用いた睡眠時ブラキシズムに対する薬剤効果について2014
Author(s)
酒井拓郎, 加藤隆史, 菅沼岳史, 高場雅之, 小野康寛, 葭澤秀一郎, 吉澤亜矢子, 吉田裕哉, 石井正和, 栗原竜也, 川名ふさ江, 木内祐二, 馬場一美
Organizer
日本睡眠学会第39回定期学術集会
Place of Presentation
徳島
Year and Date
2014-07-03 – 2014-07-04
-