2017 Fiscal Year Annual Research Report
Positive Devianceアプローチによる医療関連感染予防の新たな戦略
Project/Area Number |
26293447
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
前田 ひとみ 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 教授 (90183607)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 久子 名古屋市立大学, 看護学部, 教授 (00230285)
河村 洋子 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 准教授 (00568719)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 医療関連感染防止対策 / Positive Deviance / 地域連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は①医療機関におけるPositive Deviance(PD)同定のための調査並びに②モデル地域で分離されたカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(Carbapenem-resistant enterobacteriaceae:以下CRE)の耐性遺伝子の解析を行った。 ①については、400床未満の3施設21人の面接から、最も感染対策に効果的な人材活用や手順書の活用の工夫が示された。また、感染対策に積極的に取り組んでいる施設は人間関係が良好であることが示唆されたことから、手順書作成の研修を3回シリーズで行い、全てに参加した人を対象に組織の中でのコミュニケーションについて質問紙調査を行った結果、コミュニケーションの「頻度」「タイミング」「正確さ」、「問題解決のためのコミュニケーション」「知恵や情報共有」「互いの尊重」について、回数を重ねるごとに良好になっており有意差が見られた。この結果から、感染対策への取り組みは組織のコミュニケーションを深めることが明らかとなった。 ②については2016・2017年度において、モデル地域で分離されたCRE178株の菌種別の推移を調査した結果、2016年度は92株であったが、2017年度は86株とが前年度に比べCRE検出数は約7%減少していた。S.marcescensとC.koseriは前年度に比べ増加傾向であったが、E.coliとP.mirabilisは減少傾向であった。また、耐性機序の解析結の結果、カルバペネマーゼ産生遺伝子が陽性となった株は9株であり、その全てがIMP-1であった。また、プラスミド性AmpC産生遺伝子が陽性となったのは18株であり、その内訳はEBC 15株、CIT 2株、DHA 1株であった。微生物サーベイランス結果と、耐性遺伝子解析結果より、モデル地域でのCREの動向と、その耐性機序が徐々に明らかとなってきた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
耐性遺伝子解析については、CREの分離数が少なく、特定の施設から分離された菌株に偏っていたことより、この結果だけではモデル地域におけるCREの動向を把握するのに十分とはいえない。また、医療施設の調査については、平成28年4月に発生した熊本地震により、調査予定であった施設の被災等により、調査対応の延期の希望があったためである。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は①については、さらに調査を重ねるとともに、研究協力病院を対象に、これまでに抽出された感染対策のアプローチ法を用いた取り組みを行っていく。②については、期間を延長するとともに、MRSAを加えてCA-MRSA株の検出頻度や、域内での地理的な拡がりを分析するとともに、メチシリン耐性遺伝子(SCCmec)や病態と関連する毒素遺伝子に着目し、PCRやシークエンスにより流行株の遺伝学的特徴を明らかにする。
|
Causes of Carryover |
(理由)耐性菌の分離数が少なかったことと、熊本地震の影響等により調査協力施設からの介入期間の延長の依頼があったため。 (使用計画) PD行動を抽出するための調査をさらに加えることと、耐性菌の遺伝子解析については、MRSAも加えた耐性遺伝子の解析も行う予定であり、そのための試薬などが必要となる。
|
Research Products
(1 results)