2015 Fiscal Year Annual Research Report
多様な夜勤形態で働く看護師の安全と健康に資する睡眠方策に関する実証研究
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26293457
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Research Institution | The Ohara Memorial Institute for Science of Labour |
Principal Investigator |
松元 俊 公益財団法人大原記念労働科学研究所, その他部局等, 主任研究員 (20342686)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 司 公益財団法人大原記念労働科学研究所, その他部局等, 主任研究員 (10260134)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 仮眠 / 労働負担 / 看護労働 / 長時間夜勤 / 夜勤・交代勤務検定 |
Outline of Annual Research Achievements |
わが国の看護労働においては、2交代勤務化にともなう長時間夜勤の負担軽減策として夜勤中の仮眠取得実態がヒアリング調査から明らかになった。しかし、夜勤・交代勤務に従事する看護師においては、仮眠取得時間や取得時刻の決め方が職場ごとに異なり経験的で基準がなく、労働負担について考慮されている様子がみられなかった。そのような実態を踏まえて、個々の看護師が夜勤・交代勤務に従事する安全、健康リスクを知り、職場で共通認識を持つことで仮眠を含む労働負担軽減策のあり方を考える仕組みとして「シフトワーク・チャレンジ」を開発した。また夜勤・交代勤務に関する科学的知見を基礎知識としてまとめたテキストを併せて作成するとともに、WEB検定を開始した。 具体的な労働負担軽減策を検討するにあたり、夜勤時間により休憩や仮眠時間が設定され、睡眠を含むその後の生活が影響を受けると考えられるが、国内のみならず国外でも夜勤時間の規定はない。しかし、夜勤中の仮眠には、わが国では勤務中の安全、健康、勤務後の生活の質の効果があることを広く認識されてきたことから、仮眠と夜勤時間は一体のものとして考える必要がある。看護労働においては、1回の夜勤の長時間化が進んでいるものの月単位で夜勤時間が72時間を超えないようにする制限がある。最近の研究によれば、8時間より長い勤務を行う看護師の意識調査では、8時間以上の長時間勤務は患者への安全に対しては、問題あり38.5%、問題ない7.7%、かわりない53.8%であったが、自身の健康度については問題あり72.4%、問題ない10.3%、変わりない17.2%であることから、看護師は自身の健康を犠牲にして患者の安全を守っていることが明らかである。そのため、今年度では調査にいたらなかったものの、看護師の1か月の夜勤時間(回数)と睡眠取得状況について長期的な調査を行う計画を立案し看護現場に提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成28年度の診療報酬改定にともない、看護現場での関心が長時間夜勤での仮眠による労働負担軽減ではなく、実質的に夜勤時間規制となっている月72時間要件に集まった。そのため、本研究のテーマが受け入れられにくくなったことが考えられた。しかし、長時間夜勤の影響や仮眠の効果に関する情報を含む、夜勤・交代勤務全般の安全、健康リスクを周知する仕組みを作ることで、調査研究に対する理解を得やすくし、計画を促進する工夫を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は、実際の夜勤対策としての有効な仮眠として長さやタイミングを実験的検討から決定するのではなく、とりわけ夜勤の長さや勤務編成の違いを考慮した上での検証することを目的としている。今後は、夜勤対策を睡眠だけでなく多角的に検討し基準を作ることを念頭に置くことで調査対象への協力を得やすくする。平成28年度では特に夜勤時間(回数)を軸に労働・睡眠実態調査を行う計画を立案した。
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Research Products
(4 results)