2016 Fiscal Year Annual Research Report
慢性の痛み語りデータベース構築と生活の再構築に関する研究
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26293490
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 幹代 自治医科大学, 看護学部, 准教授 (00328163)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 奈津子 聖路加国際大学, 看護学研究科, 助教 (10328180)
濱 雄亮 慶應義塾大学, 文学部, 講師 (60739126)
城丸 瑞恵 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (90300053)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 慢性痛 / 病いの語り / 医療情報 / 医療社会学 / リハビリテーション看護 / 看護教育学 / 臨床看護学 / 地域看護学 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、特定非営利団体(NPO)健康と病いの語りディペックス・ジャパンのホームページ上の掲載で、継続的に協力者を募ることができた。対象者とはインタビュー担当者が事前の調整を重ねた後、国内各地で映像と音声によるインタビューデータの収集をした。 現在まで「慢性の痛みをもつ本人」38名(原因:腰痛、リウマチ、線維筋痛症、三叉神経痛、CRPS(複合性局所疼痛症候群 脊髄損傷、原因不明 ほか)、性別:男性9名 女性29名、平均年齢53.0歳、平均疼痛期間13.1年)、「慢性の痛みをもつ人の家族」5名、(性別:男性1名 女性4名、平均年齢52.8歳)のインタビューと、全症例の逐語録作成が終了している。 そのうち、対象者に逐語録を郵送し、削除箇所の確認をし、データベースとして30名分の映像もしくは音声データ使用の承諾を得ている。そのほか逐語録データの送付準備中もしくは、対象者による逐語録内容の確認が進行中である。インタビューデータの分析は、インタビュー調査者5名により、質的分析ソフトMAX-QDAを用いデータコーディングを行い、その後インタビュー項目の追加など検討を進めながら行っている。 並行して、インタビュー予定者(原因:線維筋痛症、CRPS、家族性地中海熱・神経痛など)数名と事前の調整を進めていることころである。 研究者間の調整は、インタビュー対象者の確認およびデータ分析、情報交換を目的とし計7回の会議開催および、DIPEx-Japanの運営会議で定期的に実施した。そのほか、年間を通しメールや電話を用い、研究者同士で頻回な連絡・調整を行い研究の推進を図った。 研究協力者(別府、佐藤(佐久間)、射場)らと、11月にスペイン La Laguna大学で開催された、DIPEx International(http://www.dipexinternational.org/)に参加し、成果の一部を発表と、他国の先行研究や、本研究における今後のデータベースの活用に関する有用な情報収集ができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2015年度、研究代表者が所属機関を異動したため、倫理審査の再申請ののち、データ収集を開始した。そのため、予定していた対象者とのインタビュー調整に時間を要し、データ収集期間が延長したため、全体のスケジュールに変更が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
慢性の痛みをもつ本人、数名のインタビューを実施しデータを追加する。並行して、慢性の痛みをもつ本人(同意撤回者を除く)、慢性の痛みをもつ人のご家族へのインタビューデータを用いて、質的分析ソフトMax-QDA(Ver.11)にて分析する。分析過程においては、全て複数の研究者で行い、分析の妥当性を確保する。全体の語りの分析を通じて抽出された20~30個のトピックスについて、トピックごとに論点を整理し、WEBで取り上げる映像と音声(3分程度の映像)のまとまりに区切り、おおよそ400~500の映像を編集し加工する。さらに、WEB公開前に再度、同意撤回の有無について意思確認を行い、WEB上(認定特定非営利活動法人 健康と病いの語りディペックス・ジャパン ://www.dipex-j.org)で公開する。定期的なリサーチャー会議に加え、アドバイザリー委員会の開催も予定し研究班全体の情報共有を通して、適切な研究を遂行する。
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Causes of Carryover |
研究代表者が前年度、所属機関を異動したため研究スケジュールの遅れが生じたため、インタビュー調査に伴う経費(旅費、逐語録作成、謝金)及び映像加工に関わる諸費の支払いが一部繰り越された。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
質的データ分析に伴う妥当性を確保するために、対面による確認が必要となる。そのため、定期的な会議開催に伴う費用が発生する。また、WEB上に配信するすべてのデータの信頼性を確保するために、アドバイザリー委員会(専門家)のメンバーら約10名による複数チェックを予定している。そのため、データの受け渡し(往復)の通信費用などが生じる。このほかWEB配信する映像・音声の加工(400-500個:1個 3分程度の映像)に伴う委託料が生じる。このほかにも数名の追加インタビュー調査を予定しているための旅費、逐語録作成、謝金に使用を予定している。
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Remarks |
すでにWEB上で構築されている乳がんの語りを用いて、語りを解釈し映像を情報源とした教育的活用方法について提示した。今後、WEBによる「慢性の痛みの語り」のデータベースが構築後、同様に一般市民への啓蒙や、医療従事者への教育的活用の可能性について検討がなされた。
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Research Products
(6 results)