2016 Fiscal Year Annual Research Report
ASEAN経済統合・EPA下の医療保健人材の東アジア域内移動と職場適応の実証研究
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26300037
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Research Institution | Tenri University |
Principal Investigator |
奥島 美夏 天理大学, 国際学部, 准教授 (10337751)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 史男 大阪市立大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (10281106)
金子 勝規 大阪市立大学, 人文社会系研究科, 准教授 (10708085)
池田 光穂 大阪大学, 学内共同利用施設等, 教授 (40211718)
石川 陽子 首都大学東京, その他の研究科, 准教授 (40453039)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 文化人類学 / 経済学 / 看護学 / 保健医療 / 移住労働 / 東南アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度実績報告書に書いた通り、H28年度は各メンバーの専門地域であるインドネシア、タイ、ベトナムなどについて個々の現地調査を行った。たとえば、インドネシアでは脳梗塞などによる要介護度が高い地方在住高齢者への介護やリハビリの現状を視察する機会に恵まれた。 また、11月13日開催(於:京都・ベーコンラボ貸会議室)の研究会議では、ドイツの介護労働市場(天瀬光二氏・労働政策研究研修機構)、ベトナムの高齢化と介護国際ボランティア(山田修司氏・NPO法人ASCA事務局長)、ベトナム看護教育(グエン・ソンハー・さつき台病院EPA看護師)についてそれぞれの専門家を外部研究機関・民間団体より招へいして、有意義な議論を行った。 この研究会議に基づいて、ベトナムにおける保健医療の現状と日本・ドイツその他のEU諸国などへ送り出す種々の人材(看護師、介護福祉士、介護研修生など)育成について共同現地調査を3月3~10日に実施することができた(研究代表者・分担者および研究協力者の新美達也の6名と現地カウンターパート:ベトナム学・科学開発研究所他)。視察先はタインホア省(タインホア医療短期大学、タインホア省総合病院)、ナムディン省(ナムディン看護大学)、フンイエン省(看護師他事前研修施設視察)、ハノイ市(海外就労管理局、在ハノイ日本大使館、高齢者介護施設)である。 日系企業も含め、多数の先進諸国の企業・語学学校が進出している現在、ベトナム人保健医療人材も送出し政府機関も目先の出稼ぎにふりまわされがちな現状であること、人材流出やより専門的な教育・研修の強化については対応が遅れているという事実が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H28年度までの研究調査により、東南アジアにおける保健医療人材の送り出し国であるインドネシアとベトナム、および東南アジア大陸部における看護・介護機関と保健医療教育機関のいわば「ハブ」的存在になりつつあるタイについての現状が明らかになってきた。 ただし、受け入れ側としては日本の現状についての調査は進んでいるものの、フィリピンやマレーシアにおける研究調査がまだ残っている。残りの2年間でこれらの国々における研究調査を推進するという課題も明らかになった。最終年度に予定している国際シンポジウム、および成果論集の準備にむけて、研究代表者・分担者・協力者などの間での役割分担を確認し、今後招聘すべきゲストスピーカーや共同調査の必要性についても洗い出した。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のとおり、来年度はアジア域内の保健医療人材の主要受入国である日本に加えて、フィリピン、マレーシア、シンガポールなどの現状の研究調査を急ぐ予定である。 また、外国人保健医療人材の就労先における適応問題(再教育、文化摩擦、家族形成、帰国など)についても、政策と個々の移住労働者のニーズや希望とのずれ、また国・民族ごとの宗教・文化・家族観・人生観などの違いなどについて、インタビューや参与観察などによって明らかにしたい。
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Causes of Carryover |
研究分担者・石川陽子の学務日程が変更となり、ベトナム共同調査に参加できる見通しとなったため、現地協力者への謝金などに配分金を使用する予定であったが、別途資金により一括清算できたため未使用となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の海外渡航時の謝金などとして使用する予定である。
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