2017 Fiscal Year Annual Research Report
ASEAN経済統合・EPA下の医療保健人材の東アジア域内移動と職場適応の実証研究
Project/Area Number |
26300037
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Research Institution | Tenri University |
Principal Investigator |
奥島 美夏 天理大学, 国際学部, 准教授 (10337751)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 史男 大阪市立大学, 大学院法学研究科, 教授 (10281106)
金子 勝規 大阪市立大学, 大学院創造都市研究科, 准教授 (10708085)
池田 光穂 大阪大学, COデザインセンター, 教授 (40211718)
石川 陽子 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 准教授 (40453039)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 医療・福祉 / 東南アジア / 文化人類学 / 看護学 / 経済学 / 政治学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は引き続きASEANにおける看護・介護人材の調査を中心に進めた。 まず、奥島はマレーシア、ブルネイ、インドネシア、ベトナムで現地調査を実施した。本プロジェクト初のマレーシア・ブルネイの調査では、保健省・看護師協会・大学などを訪問し、政策方針、外国人看護師の受け入れ状況、看護教育、卒業後の進路などについてインタビューを行った。両国はインドネシアと同じマレー語圏だが主に受け入れ国であり、しかし近年は現地看護師のシンガポールや中東への流出にも苦しんでいることがわかった。 金子はタイ、カンボジアにおいて現地調査を実施し、医療政策や病院経営などについて調査を進めた。また、インドネシアにも奥島の調査に合流し、地方部(東カリマンタン州)における保健医療の現状を探るため、保健所(地域保健センター)、助産院、看護学校、現地民の自宅介護などについて参与観察・インタビューした。地方部では海外就労の機会は少ないが、結婚・出産・育児などのライフステージに合わせて大学や大学院への進学や、昇進にむけたプロモーション(地方勤務)などを行い、長期的な勤務を続けていくことが可能であることがわかった。 永井は金子、および研究協力者の河野あゆみ教授(大阪市立大学看護学部)と、タイにおいて共同調査を実施し、医療政策や看護教育のほか、介護制度の普及と自治体の役割について調査した。なお、同教授には次年度の成果論集にて、主に看護教育面に関する報告・執筆などでも協力を依頼する予定である。 さらに日本国内では、石川がEPA看護師や所属機関関係者へのインタビュー、池田は多様な保健医療の在り方と今後の動向について講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は当初、メンバーの本務校における業務日程や体調不良が重なり、ゲストスピーカーを招聘しての研究会議や学会報告は行えなかった。 だが2018年2~3月には、各自の専門調査地にて海外調査を実施し、とくに一般に受け入れ国とみなされているが近年送り出しも拡大しつつあるマレーシアとブルネイの政策方針や教育制度についての調査を開始できた。また、タイでは研究協力者の河野あゆみ教授をまじえて看護教育や病院の視察を行い、インドネシアでは奥島・金子の共同調査で、人材配置が偏りがちな都市部との比較のため、地方部における看護師その他の保健医療人材の調査も進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は最終年度にあたるため、研究成果の出版準備をみすえたインテンシブな研究会議を2~3回程行い、学会発表・論文投稿の可能性も探る。また、マレーシア・インドネシアなどにおける補足調査も予定している。
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Causes of Carryover |
当初、マレーシアにおける共同調査を2018年2~3月頃に予定していたが、調査委対象である大学・看護師協会などとメンバー(池田・石川・奥島)の日程調整がつかなかったため、奥島が単独で先行調査を行った。2018年度にもマレーシアその他における現地調査を予定しており、その際に使用する心づもりをしている。
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