2017 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける政治情報の研究-韓国・台湾のネット選挙キャンペーンを事例に
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26301012
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山本 竜大 金沢大学, 法学系, 教授 (80632827)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 選挙 / インターネット / 報道 |
Outline of Annual Research Achievements |
過去30年間の間で、韓国・台湾の選挙において、日本のマスメディア・新聞が何を報じてきたかを明らかにするため、複数の新聞を利用して検討した。数百語を利用したネットワーク分析から、以下のことが導かれる。上位に位置する語には、大きな差異が強調されるほど相違はない。主要なトピックとして長期間継続する問題は、台湾では対中(両岸)問題である。選挙キャンペーンとICTの関係に関する推移を明確に確認するには数百語のネットワーク分析では難しい。報道の中身を踏まえると、対象となる選挙過程の報道に加えて、東アジア、米露、中国、欧州、時に中東諸国にまたがる国際関係の視点から語られる記事、日本の政治過程が混在する記事が多い。この点は、ある選挙がもつが国際社会への政治的インパクトと2国間/多国間関係、国内政治の争点(化)や連動性との関係を物語る。取り上げられるアクターは候補者のキャンペーン活動、前もしくは歴代政権との関係、日本国内の政党、他国の政治リーダーやその政府(高官)に絞られてくる。 そうしてみてみると、日本のマスメディアが隣国・海外の選挙過程を報道する時には、対象国及び関係国の(歴史的)政治過程が注目されやすそうだとう点、政策競争についてはこの事例では、十分な比較の上でたった報道が一貫しているといいにくい点が理解できた。 ただし、この検討には、技術的な問題も含まれることが指摘される。社会ネットワーク分析で処理可能な範囲と分析者(人間)の理解が一致する部分には一定の限界が生じえることである。その場合の対応策について、単に政権ごとに分析することで解決される課題なのか、技術的な改良を試みるべき課題なのかという点が浮かんだ。これは、間接的に研究手法・技術に関する知見と言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
日本国内において、衆議院選挙が急遽実施され、本研究にかかる準備、海外研究者への対応などを十分な環境整備できなかったこと、まとまった時間をかけて現地調査をしづらくする海外情勢が勃発されたことなどが重なり、調査活動自体のみならず、関連する手続きさえも取りづらい状況に陥ったため。 そうした環境下で、上述の研究成果に加えて、これまでに取集されたテキストの処理を試みた。機械翻訳では、日常的な表現などについても限界がある部分が明らかになってきている。そのため、これまで以上にシソーラスの作りこみをどの程度進めなければならないかを吟味している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに進められている内容(データの整理-入力-分析、インタビュー内容)に加えて、昨年度予定されていた内容(インタビューとさらなるデータ分析)などを推進する。 そのうえで、(諸事の調整がもとめられるけれども)海外研究協力者とのコラボを推進し、達成できてないない部分を具現化する。
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Causes of Carryover |
既述のように、国内外にて予想外の事柄により、海外の研究者の来日、会議、とりまとめの方向などがずれ込んだこと、研究本体の推進手続きを繰り越して進めなければならないことなどが生じた。そのため、その実施に最低限必要となる費用を確保するために、繰越す手続きを行った。
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