2015 Fiscal Year Annual Research Report
海綿由来生物活性物質の生合成遺伝子の収集調査と生合成機構の解明
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26303005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿部 郁朗 東京大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (40305496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
脇本 敏幸 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (70363900)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 海洋天然物 / 生合成遺伝子 / 海綿動物 / 共生菌 / 採集調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
海綿動物からはこれまで2万以上の生物活性物質が報告されており、海洋生物の中でも際だった医薬資源である。一方で、海綿由来の生物活性物質の多くは共生微生物によって生産されていることが近年明らかにされつつある。我々は先行研究によって、伊豆半島産の海綿Discodermia calyxに含まれる、抗ガン剤としての応用が期待される細胞毒性物質、カリクリンAの生合成遺伝子クラスターを同定し、その生産菌を明らかにしてきた。興味深いことに、太平洋海域に生息する全く異なる種の海綿からカリクリンAと同一の骨格を有する代謝産物が単離、報告されている。そこで、これら太平洋域の海綿を採集調査し、生合成遺伝子を単離、比較検討することにより、その生合成機構を解明し、天然物の構造多様性の起原を探る。また同時に、これら海綿に共通の生産菌が存在する可能性について検証し、物質生産に秀でた共生菌の分布の普遍性を調査する。 H27年度は、新たな共同研究者であるベトナム・フエ医科薬科大学・Nguyen Thi Hoai 教授のサポートのもと、対象地域としてベトナムを訪問、海綿の採集調査を行った。また、オーストラリア・フリンダース大学・Wei Zhang教授、インドネシア・LIPI・Masteria Yunovilsa Putra教授とは、昨年度に引き続き、試料調査、情報交換、共同研究を進めている。化学分析用試料は現地で抽出エキスを調製し、それらを持ち帰りLC-MS等を用いた成分分析と生物活性試験を行っている。遺伝子を対象とする実験試料は採集した海綿をRNA Laterに保存し、それを持ち帰ってPCR等の分析に供した。メタゲノムライブラリーを作成し、遺伝子クラスターを単離同定、解析が現在進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ベトナムでの採集調査を実施、オーストラリア、インドネシアとの共同研究も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はオーストラリア・フリンダース大学・Wei Zhang教授の協力のもとに採集を行う。また新たに、ミャンマー・ヤンゴン大学・Nwet Nwet Win教授とともに、アンダマン海での海念の採集調査を予定している。これら海域で採集した海綿類をCa-Mg freeの人工海水中で懸濁し、細胞を分散させた後に、その細胞懸濁液をフィルター濾過、Percoll等を用いた密度勾配遠心分離法によって分画を行う。分画した共生微生物細胞画分をRNAlater中に保存して持ち帰り、次世代シークエンサーによる全ゲノム解析を行う。すでに我々は同様の方法にてTheonella swinhoeiとDiscodermia kiiensisのフィラメント状バクテリアEntotheonella sp.の全ゲノム解析に成功している。本研究によって潜在的にゲノム情報に含まれているカリクリン類縁体の遺伝子クラスターが見出される可能性があるとともに、東南アジア地域~日本に至る海綿類におけるEntotheonella属共生微生物の多様性、普遍性について新たな知見を得る事ができる。
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Causes of Carryover |
予定していたオーストラリアでの採集調査を延期したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
海外調査旅費、試薬など消耗品の購入に充てる
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Research Products
(12 results)