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2014 Fiscal Year Annual Research Report

東南アジア地域における降雨流出・浸透特性を反映した斜面災害リスク低減に関する研究

Research Project

Project/Area Number 26303009
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

大津 宏康  京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40293881)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 立川 康人  京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40227088)
小林 晃  関西大学, 工学部, 教授 (80261460)
Project Period (FY) 2014-04-01 – 2017-03-31
Keywords地盤工学 / 自然災害
Outline of Annual Research Achievements

平成26年度における研究実績は,(1)タイにおける原位置計測器の設置,および(2)原位置計測データの分析・解析に区分される.
(1)に関しては,タイ北部・チェンマイ市郊外のタイ・カセサート大学実験農場内の風化花崗岩(まさ土)を用いた盛土斜面を計測サイトとして選定した.同サイトに体積含水率,間隙圧,表面流量,雨量を計測する計器を設置し,計測データをインターネットデータ通信システムにより日本側のサーバーに転送し,データを関係者間で共有するシステムを構築した.
(2)に関しては,初年度で計測データの蓄積が十分ではないため,当該盛土斜面での降雨に伴う浸食/浅層崩壊の発生機構を明確にするため,日本/タイ/香港における斜面崩壊事例との比較検討を実施した.この結果,盛土斜面では,表面からの降雨浸透による浸食/浅層崩壊に加えて,盛土と原地盤との境界部での浸透が法尻浸食を誘発する可能性があり,この2種類の崩壊パターンは,盛土材料の透水性によることを明らかにした.
これらの知見に基づき,材料の透水性による浸透特性の相違を明らかにするため,以下の検討を実施した.起案者らが過去に原位置計測を実施した,タイ・ナコンナヨックの原位置計測サイトは風化流紋岩を用いた盛土であることから,難透水性材料を用いた盛土の流出/浸透特性を分析した.この結果,同サイトでは,斜面表面からの降雨浸透に比較して,盛土と原地盤との境界部での浸透が支配的となることを明らかとなった.一方,当該盛土斜面は高透水性のまさ土を用いていることから,斜面表面からの降雨浸透が支配的になるものと推察された.この流出/浸透特性を検証するため,初年度に当たり計測データの蓄積が十分ではないが,表面流出量の計測結果に着目した分析を実施するとともに,起案者らが開発したタンクモデル逆解析システムを用いた,流出/浸透特性の分析を実施した.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

9.の研究実施に示したように,日本・タイ・香港における斜面崩壊事例と比較検討より,自然斜面,切土斜面,盛土(高透水性材料/難透水性材料)斜面という,斜面形式および地盤材料の透水性によって崩壊パターンが異なるとの知見が得られたことから,当該盛土斜面における原位置計測の位置付けを明確にすることが可能となった.
特に,盛土斜面では盛土材料の透水性に依存して2種類の崩壊パターンが想定されることが明らかとなれば,今後豪雨に対する土砂災害早期警戒体制,斜面の対策工,および斜面アセットマネジメントに資する維持管理計画を立案する上で,極めて重要な知見を与えるものとなる.
具体的には,斜面表面からの降雨浸透による浸食/浅層崩壊は,降雨開始から比較的早期に発生する可能性があり,対策工および維持管理の立案では斜面表面保護工の健全性が最重要の検討項目になると推察される.一方,原地盤との境界部での浸透による法尻浸食は,時間遅れを伴い先行降雨履歴の影響を受ける可能性があり,対策工および維持管理の立案では法尻の排水工の健全性が最重要の検討項目になると推察される.

Strategy for Future Research Activity

平成27年度においては,前年度回収した計測器を再設置し,原位置計測データの蓄積を図る.そして,原位置計測データの分析および数値シミュレーションにより,雨水流出・浸透特性を反映し盛土斜面において浸食破壊あるいは浅層すべりが発生する危険性について検討を加える. なお,平成27年度での原位置計測データの分析・解析では,過去にタイで計測を実施した斜面での計測結果,および日本において過去に実施した道路盛土斜面での計測結果を用いた比較検討により,当該盛土斜面での豪雨時の雨水流出・浸透特性の特徴を明らかにする予定である.
また,平成27年度は,降雨流出・浸透特性を反映した災害リスク低減策の立案に関する研究として, タイにおいて提案されている手法を改良することで,豪雨に対する土砂災害早期警戒体制の立案を図るものとする.加えて,盛土斜面の対策工の立案に関して,原位置得られた雨水流出・浸透特性を反映した数値解析によりその効果を検討する.
平成28年度においては,前年度と同様に回収した計測器を再設置し,原位置計測データの蓄積を図り,豪雨時に斜面表層部での表層貯留量の発生機構,および盛土斜面において浸食破壊あるいは浅層すべりが発生する危険性についての知見の取りまとめを図る.
また,平成28年度の降雨流出・浸透特性を反映した災害リスク低減策の立案に関する研究では,前年度に引き続き土砂災害早期警戒体制の立案に関する提案を取りまとめるとともに,盛土斜面の対策工の立案に関して,日本で開発されたた対策工の適用性についても検討を加える.

Causes of Carryover

平成26年度に残額が発生した主な理由は,予算計画に計上した学生を対象とした謝金支払いが発生しなかったこと,および予算計画より多少安価な原位置計測器を購入したことによる.また,原位置計測が初年度に当たり,計測期間が短かったため,計測器の精度確認およびメンテナンスに現地出張する必要がなかった.しかし,平成27年度は,原位置計測期間が4月末から9月末までと長期に渡るため,計測器の精度確認およびメンテナンスを行うために現地出張回数を,当初の予定より1回増加させることが必要となる.また,別途新たに簡易な原位置降雨浸透実験装置を開発したため,その実験装置をの実証実験をする実施する.

Expenditure Plan for Carryover Budget

次年度使用額は,上記理由に示したように,計測器の精度確認およびメンテナンスを行うために現地出張回数を,当初の予定より1回増加するための旅費として使用する.また,新たに簡易な原位置降雨浸透実験を実施するため,その物品費/その他雑費として使用する.

  • Research Products

    (4 results)

All 2015 2014

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (3 results)

  • [Journal Article] A Simulation of Surface Runoff and Infiltration due to Torrential Rainfall Based on Field Monitoring Results at a Slope Comprising Weathered Granite2015

    • Author(s)
      H. Ohtsu, H. Masuda, T. Kitaoka, K. Takahashi, M. Yabe, S. Soralump and Y. Maeda
    • Journal Title

      Geotechnical Engineering Journal of the SEAGS & AGSSEA

      Volume: Vol. 46, No.1 Pages: 12-21

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] 1次元タンクモデルを用いた集中豪雨時の斜面表層部における降雨流出浸透特性に関する研究2015

    • Author(s)
      北岡貴文
    • Organizer
      第43回岩盤力学に関するシンポジウム,土木学会
    • Place of Presentation
      土木学会本部講堂,東京
    • Year and Date
      2015-01-08 – 2015-01-09
  • [Presentation] An Investigation of Mechanism of landslide Caused by Torrential Rainfall Based on Field Monitoring Conducted in Thailand2014

    • Author(s)
      大津宏康
    • Organizer
      The 7th AUN?SEED-Net Geological Engineering Conference & The 2nd AUN/SEED-Net Natural Disaster Conference
    • Place of Presentation
      University of Yangon, Myanmar
    • Year and Date
      2014-09-29 – 2014-09-30
  • [Presentation] A Study on Investigation of Shallow Slope Failure Caused by Torrential Rainfall Based on Field Monitoring2014

    • Author(s)
      大津宏康
    • Organizer
      EIT-JSCE Joint International Symposium on International Human Resource Development for Disaster-Resilient Countries 2014
    • Place of Presentation
      Imperial Quuen's Park Hotel, Bangkok, Thailand
    • Year and Date
      2014-08-25 – 2014-08-26

URL: 

Published: 2016-06-01  

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