2014 Fiscal Year Annual Research Report
マングローブ再生事業に関わるNGOと現地政府・住民などとの合意形成のあり方
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26304005
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
後藤 順久 日本福祉大学, 経済学部, 教授 (90215509)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 茂 成蹊大学, 理工学部, 特別研究招聘教授 (90147489)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 熱帯林再生 / マングローブ / 合意形成 / NGO / 環境社会システム |
Outline of Annual Research Achievements |
マングローブ再生のための合意形成のプロセスを、成功した例、失敗した例を含めて、各種データ、行政資料など既存資料の収集解析、環境問題担当者・NPO・NGOなどのインタビュー調査によって明文化し、合意形成の類型を整理する。 フィリピンでは、シライ市役所の関係者、植林サイトなどの周辺地域のリーダーなどにインタビュー調査を行った。これらに基づいて、周辺住民へもインタビューを行い、意識調査を実施した。 タイでは、タイ環境研究所(TEI: Thailand Environment Institute)と共同で現在までにタイ国内において実施されてきたマングローブ植林活動について調査を行った。また、天然資源環境省(Ministry of Natural Resources and Environment)のマングローブ専門官とともにマングローブ植林の先駆(1993年)をしたパンガ県のトイ村を訪問し、前村長、地元小中校の教員および生徒らと面談した。トイ村では現在も、マングローブ植林と藻場再生のための藻の植え付けを小中校の環境教育の一部として定期的に実施していることが明らかになった。また、ナコンシタマラ県のNGOマングローブ植林地を訪問し、マングローブ樹木の生育状況を視察するとともに植林地のバイオマス調査、土壌環境調査、土壌中の炭素および窒素濃度計測等を実施した。特にマングローブ植林による土壌中の炭素蓄積は緩やかに増加しており、NGO活動等による地球温暖化抑制への貢献の一つであると言える。また、マングローブ植林による生物多様性の回復過程の解明に関し、マングローブ植林地域から魚介類を採取、食物連鎖(Food web)の検討を始めた。成果の一部を日本海水学会第66年会「南部タイの破壊されたマングローブ生態の修復行動」(神奈川大学、2015年6月)の課題で発表する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画調書では、1年目、2年目に以下の3項目を実施する予定であった。 ステージ1. 東南アジア各国のマングローブに関するマクロデータの収集 ステージ2. フィリピンにおける植樹サイトの詳細サーベイ ステージ3.タイにおける植樹サイトの詳細サーベイ 1年目でステージ1のデータについての収集がやや遅れているものの、全体への影響はない。ステージ2の現地サーベイは計画通り進んでいるが、集積されたデータの分析がやや遅れている。ステージ3のサーベイも同様に、データ収集は計画通り進んでいるが、分析がやや遅れ気味である。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のステージ1のデータの収集が遅れているため、2年目では目標を達成する活動を精力的に行う。国内にもマングローブに関わる研究を行う組織(IITO、ISMEなど)があり、交流を進めたい。 ステージ2、3について、1年目と同様、継続して調査研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
途上国で収集したデータが地図、報告書、インタービュー記録など多種多様で、デジタル化されていないため、整理や分析に時間を要することが主要な原因である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
アルバイトなどを採用し、データ処理のマンパワーを増やすことを計画している。また、研究者は本研究に必要なデータとそうでない物の区別を早急に判断する予定である。
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