2016 Fiscal Year Annual Research Report
インフォーマル種子供給制度の持続性評価-エチオピアの自家採種・地域市場の事例から
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26304033
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
西川 芳昭 龍谷大学, 経済学部, 教授 (80290641)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根本 和洋 信州大学, 農学部, 助教 (20293508)
冨吉 満之 久留米大学, 経済学部, 准教授 (20506703)
香坂 玲 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (50509338)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 遺伝資源 / 種子システム / インフォーマル / 評価 / 自家採種 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究組織メンバーを中心とした研究会を4回(5月21日~22日(龍谷大学)・8月3日~4日・9月11・2月16日~17日(以上信州大学))実施した。分担研究者に加えて、協力者として、エチオピアにおけるヒト-家畜関係を研究している田中利和氏に「テフの飼料としての利用までを含めた調査の必要性」、韓国の種子保全運動の市民組織を研究している丁利憲氏より「採種の活動と民主化の関係の分析視点の必要性」をインプットしていただいた。 現地調査は、エチオピアの政情不安に伴う外国人の活動規制のため、主たる調査対象村であるDendi地区には原則首都からの日帰りでの調査に限られたが、現地パートナー研究機関であるオロミア州アダミツル試験場の研究者を通じて昨年度と同じ農家グループを対象とした種子調達にかかる聞き取り調査を実施した。その結果をもとに、12月に根本、冨吉、西川がエチオピアでデータの確認ととりまとめ方針の討論を行った。あわせて、田中氏が調査されている村落(主たる調査対象村から60km程度の距離)を訪問し、距離的に離れていなくても種子に関する認識が大きく異なることを確認した。 以上の研究活動を通じ、種子システムという考え方そのものに対する疑問点(農家は種子を作物や穀物と完全に異なるものとして認識しているとは限らない)を整理し、最終的な種子システムの持続性の評価の視点の整理を行う方向性を検討した。結果の一部は、3月の熱帯農業学会で報告した。 治安悪化と招致予定研究者の都合で延期していた日本でのセミナーは、3月に根本・西川がノルウエィとオランダを訪問し、研究経過を関係者に説明・意見交換し、繰り越し後の2017年10月にAndersen氏(ナンセン研究所)を招いて実施することに決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度に引き続いて政情不安に伴う現地調査の制限(外務省及び研究組織メンバーの所属機関による渡航規制を含む)のため、現地調査をミニマムに絞り込んだこと及び一部委託を行ったことにより、データが一部完全でない状況となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
エチオピアにおけるテフを題材に種子のシステムの実態を描写し、その持続性の要素を分析する基準について考察する。 ナンセン研究所のAndersen博士を招聘し、研究としては「エチオピアのテフから再考する「システム枠組み」の問題」について議論を行い、社会実装としては「食料主権と農業生物多様性」に関して国内の生協などとの連携した勉強会を開催し、研究成果を普及する。
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Causes of Carryover |
調査対象国(エチオピア)及び対象村落治安情勢悪化及び政府(エチオピア及び日本)による活動規制及び渡航規制に伴い、調査内容の一部修正を行い、また実施に遅れが見られた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
多少不充分であるが、ほぼ必要な一次データが得られているので、2017年度前半にデータ整理を行い、10月を目標にノルウエィからの招待研究者を交えた研究会を実施し、取りまとめを行う。
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Research Products
(10 results)