2016 Fiscal Year Annual Research Report
学際アプローチによる高齢者のセクシュアリティと心身の健康・社会経済状態の実証研究
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26310110
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今井 博久 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任教授 (20316631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田宮 菜奈子 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20236748)
関 ふ佐子 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (30344526)
中尾 裕之 宮崎県立看護大学, 看護学部, 教授 (40336293)
杉澤 秀博 桜美林大学, 自然科学系, 教授 (60201571)
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Project Period (FY) |
2014-07-18 – 2018-03-31
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Keywords | 高齢者 / セクシュアリティ / 幸福感 / 社会経済 / 健康関連QOL |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】日本は世界で最速で高齢化が進展している国であり、高齢者の間の関係性が問題となっている。そこで、65歳以上の高齢者を対象に彼らのセクシュアリティの実態を明らかにすることを目的とした。【方法】全国規模で調査票による調査を実施した。全国の11県の保健師に調査票および返信用封筒を渡し、高齢者への配布を依頼した。対象の高齢者による回答は匿名とし、自ら投函する方法にした。国立保健医療科学院の研究倫理委員会で審査を受けて承認された。【結果】調査票の配布数は1979、回答数は571(回収率28.9%)であった。そのうち有効回答数は568(男性256人、女性312人)だった。①性意識および性欲:性についての考えは、男性の方が女性より肯定的で、性規範も許容的であった。また、男性の方が女性より性生活を重視し、性交を望み、性欲が強かった。②夫婦の性生活:性交以外の身体的触れ合いで最も多いのは「マッサージ等」であった。「ほとんどない」が41%であった。夫婦は32%が別室であった。夫婦間の性交頻度は、月1回以上が15%、1年間に数回程度が19%、1年間全くないが66%であった。結婚している人で配偶者以外の異性と性的関係は3%程度だった。③単身者の異性との交際、結婚願望:単身者で交際相手がいる人は3%、結婚願望がある人は18%、この1年間に性交があったのは7%だった。【考察】わが国で初めて全国規模による調査が実施された。その結果、高齢期における性欲の性差は大きく、男女間の葛藤を生む可能性が示唆された。夫婦関係は大半が良好であったが、身体的触れ合いも性交も少ないことが示された。今後は高齢者のセクシュアリティと心身の健康・社会経済状態との関連に関する分析が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全国調査を予定し地方を幅広く行脚したが、計画していたよりも協力してくれる自治体の保健師が少なかった。対象者を増やすために調査の期間を延長した。そのため、進捗状況としてはやや遅れることとなった。しかし、当初の研究計画書に記載していた通りに調査票による全国調査を実施した。予定していた対象人数よりも少ないが、計画通りに全国を網羅した調査を完了した。データ解析も終えて、2017年5月28日~31日の「性の健康世界学会」(プラハ)で学会報告をする。世界から専門家が集まり意見交換し、それを研究成果に生かす見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、予定通りインタビュー調査を実施するが、費用の関係から関東地方に対象地域を限定してインタビュー調査(臨床心理士により半構造形式で面接)を実施する。調査票のデータと比較しながらインタビュー調査のデータを解析する。年度後半には、調査票の多角的(セクシャリティの結果、幸福感、社会経済文化活動、健康関連QOLを突合して)解析の結果およびインタビュー調査の結果を踏まえて「高齢者のセクシャリティに関するガイドラン」を作成する。その際には、データ・ベースによる内容を重視しながらも超高齢社会における高齢者のセクシュアリティの確立の重要性を認識し、単に性欲や行動などを意味するだけでく、「人間の生ありよう」を指向する包括的な概念と捉えて作成する。パブリック・コメントを公募し、総合的な観点から完成させることも検討している。それを全国の高齢者が生活する施設ならびに自治体の関連する課や部門に配布する。
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Causes of Carryover |
平成29年1月1日付で、東京大学大学院医学系研究科に転出したため、当初予定していた研究費を消化できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
その他として使用予定。
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