2016 Fiscal Year Research-status Report
線形計画問題の大域的構造に基づくピボットアルゴリズムの開発
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26330002
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
森山 園子 日本大学, 文理学部, 教授 (20361537)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 線形計画問題 / 多面体理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
線形計画問題(LP)の解法の1つに,1947年に Dantzig により提案された単体法をはじめとするピボットアルゴリズムがある。多項式時間を達成するピボットアルゴリズムの存在の解明は LPにおける重要な未解決問題がある。ピボットアルゴリズムは,制約条件が記述する多面体の頂点に最適解が現れるという性質に基づき,目的関数値を改善する方向に多面体の頂点をたどってさて機会を見つける手法である。従来のピボットアルゴリズムでは,次に進む頂点の選択の際に使用する情報は元の頂点に隣接する局所構造のみで,LPに内在する多面体構造という大域的構造を考慮してはいなかった。制約条件が記述する多面体上にピボットアルゴリズムの振る舞いを記述した有向グラフを「LPグラフ」という。本研究では,LPの大域的構造としてのLPグラフの重要性に着目し,この大域的構造に基づく多項式時間ピボットアルゴリズムの構築を目指している。 今年度も昨年度に引き続き,マトロイド理論に基づいてLPグラフの列挙を行うことを目指して,以下2点の研究を行った。まず,マトロイドの実現可能性のうち,LPグラフ構築に繋がる特定の体上での実現可能性について研究を行った。次に,LPグラフの土台となる多面体の性質を探求することを目指して幾何の研究を行い,幾何の古典的な問題である Opaque problem について研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度も昨年度に引き続き,マトロイド理論に基づいてLPグラフの列挙を行うことを目指して,以下2点の研究を行った。まず,マトロイドの実現可能性のうち,LPグラフ構築に繋がる特定の体上での実現可能性について研究を行った。マトロイドの実現可能性の研究については世界で一定の評価を受けており,今年度は2件(共同研究)の招待講演を行った。次に,LPグラフの土台となる多面体の性質を探求することを目指して幾何の研究を行い,幾何の古典的な問題である Opaque problem について研究を行った。Opaque problem とは,多角形領域に光線が差し込んだときにその光線を遮る最小の距離の壁を配置する問題である。この壁の距離に下界値を初めて更新した。
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Strategy for Future Research Activity |
本来は平成28年度が最終年度であったが,諸事情により期間を延長するに至り,平成29年度も継続となっている。平成29年度は,平成28年度までの研究成果を元に,最終的に LP グラフを得る一連の列挙法を確立させたい。マトロイドの実現可能性については,無限体上の表現可能性という方向性を進めつつ,LPグラフと直接関係のある実数体上の実現可能性について研究を進めたい。更に,多面体に関して広く計算幾何を含んで研究を進め,LPグラフの列挙法確率につなげることを目指す。
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Causes of Carryover |
延長申請に記載した家庭内の諸事情により,平成28年度に予定していた海外出張ができなく,平成29年度に延期することになったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国内出張および海外出張での執行を予定している。
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[Journal Article] A Lower Bound on Opaque Sets2016
Author(s)
Akitoshi Kawamura, Sonoko Moriyama, Yota Otachi, Janos Pach
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Journal Title
Proc. of the 32nd Symposium on Computational Geometry
Volume: 32
Pages: 46:1-46:10
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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