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2016 Fiscal Year Research-status Report

インフルエンザ感染システムの統計科学的研究

Research Project

Project/Area Number 26330045
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

江島 伸興  京都大学, 高大接続・入試センター, 特定教授 (20203630)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 徳丸 治  大分大学, その他部局等, 教授 (40360151)
Project Period (FY) 2014-04-01 – 2018-03-31
Keywordsインフルエンザ / 感染症 / サーベイランスデータ / 感染の性年齢差 / 一般化線形モデル
Outline of Annual Research Achievements

地理的および時間的な観点からパンデミックインフルエンザ(pdmAH12009)の日本における流行状況は多様であった。2009年のインフルエンザpdmAH1の流行をサーベイランスデータ報告を下に、世界的に調べた結果、季節性インフルエンザAおよびiBとpdmAH1が競争関係にある可能性を考究した。熱帯地域を除いて北半球では季節性インフルエンザは早い段階で駆逐され(driving-out phenomenon)、他方南半球ではpdmAH1は季節性インフルエンザと共に流行していた(co-circulation phenomenon)。pdmAH1流行のコミュニティへの持続的定着について調べると、熱帯および南半球では最初の感染の検出後、1ヶ月から2ヶ月遅れていた。日本では感染者が神戸で検出されてときには既に流行の定着が確認されている。熱帯および亜熱帯地域はインフルエンザの流行が一年を通して、あるいは複数回の流行期があり、また、南半球では2009年5月は流行期であったことが、pdmAH1の持続的定着を遅らせ、さらには季節性インフルエンザと共に流行した原因と考えられる。他の感染症を調べるとRSVの流行が例年の11月から12月に対して、1月から2月へと遅れて観測されている(pdmAH1の干渉)。日本でも沖縄は亜熱帯に属し、インフルの流行が夏および冬の二峰であるために、同様の現象は確認される。このような現象を総括して、感染症同士の流行における干渉および競争の存在を結論付けることができる。現象面から見た感染症の干渉や競争が、インフルエンザの型や感染症間における共通免疫によって引き起こされる可能性の仮説を導出した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

日本のインフルエンザデータは感染者報告と流行の型に関して2001年から2014年に亘り調査し、その動態に対して統計解析を加えた。日本は温帯から亜熱帯(沖縄)までの南北に長い国土があり、感染者報告データを県別に解析することで、流行の多様性が解明できた。沖縄を除けばその流行は単峰性であるが、亜熱帯の沖縄地方ではインフルエンザの流行が二峰であるか、または収束の明確でない年もある。このことが沖縄地方の流行が温帯の属するその他の地域と異なる点と考えられる。世界規模で2009年流行のパンデミックインフルエンザ(pdmAH1)のサーベイランスデータ解析の論文を調べ、日本の流行の地理的多様性と矛盾しないことを確認できた。沖縄の流行は地理的に近い台湾に類似し、共通の要因があると考えられ、今後の課題となった。このような感染の多様性が他の感染症、例えばRSウイルス感染症にも見られ、インフルエンザと合わせて流行の動態を調べ、異なるウイルス同士の干渉あるいは競争の考え方が導出できた。流行に関してはウイルス独自集団免疫の蓄積および減少伴う変化と見る考え方が一般的であるが、競争や干渉の観点から感染症流行を再考する必要性が提案でき、論文にまとめ投稿準備中である。

Strategy for Future Research Activity

インフルエンザとRSウイルス感染症の流行干渉については、感染者動向の地理的な考究から、感染の相互抑制として解釈される。今後の研究推進は(1)他の感染症、とくに感染者が多く観察される小児感染症(麻疹、水痘、感染性胃腸炎、手足口病、感染性耳下腺円など)とpdmAH1の干渉を2009年のデータから解析し結果解釈する。(2)過去10年以上に亘る感染症サーベイランスデータを通して、季節性インフルエンザと小児感染症の相互干渉を解明する。この解析に地理的および気候的な関連を調べるために県別の報告データも用いる。(3)インフルエンザワクチン接種に関する効果について、感染者データとの関連性の統計的解析と結果説明を目指す。(4)感染者動態の傾向を解析するための統計的検定法を開発する。感染者報告のサーベイランスデータは定点におけるポアソン標本抽出を考えられ、ポアソン分布の漸近正規性を利用した検定法の開発を行う。(5)複数の説明変量(年齢、性別、気温、地理などの条件)とインフル等の感染者動態との関連性を解析するためのパス(経路)解析法の研究を行い、インフルエンザ等の感染症データ解析に応用する。追加の課題としては、感染症同士の感染および流行に際しての干渉と地理的な感染減少の特徴の疫学的解析を設定している。

  • Research Products

    (2 results)

All 2016

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Acknowledgement Compliant: 1 results) Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] データから見える子どもの感染症の性差と研究の展開2016

    • Author(s)
      江島伸興
    • Journal Title

      小児科臨床

      Volume: 69 Pages: 1343-1351

    • Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
  • [Presentation] データから見える子どもの感染症の性差と研究の展開2016

    • Author(s)
      江島伸興
    • Organizer
      第15回久留米大学バイオ統計学フォーラム
    • Place of Presentation
      JR博多シティ大会議室
    • Year and Date
      2016-09-30 – 2016-09-30
    • Invited

URL: 

Published: 2018-01-16  

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