2014 Fiscal Year Research-status Report
線形符号の軟値復号法を応用した電子透かしの冤罪の確率の低減に関する研究
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26330157
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
日下 卓也(甲本卓也) 岡山大学, 自然科学研究科, 講師 (00336918)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 電子透かし / 二元系列 / 一定重み / 最尤語 / 再帰的アルゴリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
電子透かしの透かし情報に用いる二元系列として,二元線形符号の符号語を用いることで,デジタルコンテンツの改変などの攻撃に対する耐性を持たせることができるが,透かしの埋め込みにおけるコンテンツの品質が,符号語のハミング重みの影響を受ける方式の場合,小さな重みの符号語だけを用いることで,コンテンツの品質の劣化を小さく抑えることができる.通常,誤り訂正符号の復号法は,全符号語の中で最尤な符号語を探索することを目的とするが,最小重みの符号語以外が埋め込まれていないことが明らかな場合,最小重みの符号語の中で最尤な符号語を効率的に探索する手法が有効である. そこで,軟値受信系列に対して,一定の重みの二元系列を,その尤度の降順に逐次生成可能な再帰的な手法 Recursive Specific Weight Vector Generator(RSWVG)を考案し,AWGN通信路を想定した実験にて性能を評価した.また,RSWVGによって生成される一定の重みの二元系列に線形符号のパリティ検査を組み合わせることで,一定の重みの符号語の中で最尤な符号語を効率的に探索できる手法を考案し,(64,51,6)拡大BCH符号に対して,最小重み6と,その次に小さい重み8の符号語の探索手続を実装し,AWGN通信路を想定した実験にて性能を評価した. 拡大BCH符号の符号語の重み制御は簡単ではないことが知られており,一定の重みの符号語の探索手法の効率化により,長い符号長での実用的な復号法を実現できるため,電子透かしの攻撃耐性の強化が可能となった. また,誤り制御性能が優れた復号法として知られている軟値出力型復号法を電子透かしに応用することも模索するため,軟値出力型復号法をブロックターボ復号法に適用する場合の,軟値出力に関する考察をし,復号法の効率化に関する検討をした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電子透かしの透かし情報として,一定の重みの符号語を用いる手法は,すべての符号語を用いる手法に比べて,誤訂正の発生確率を低減できるため,有効である.平成26年度には,再帰的なアルゴリズムに基づいた効率的な一定重みの二元例列の生成手法と,それにパリティ検査を組み合わせることで一定重み符号語の中で最尤な符号語を探索する手法を考案し,ソフトウエア実装により性能の評価を行った. 提案手法は,符号の構造を特に使用しないため,任意の二元線形符号に適用することができ,透かし情報として用いる線形符号の選択肢を広げることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は,さらに長い符号長において,考案した復号法の実装を進めるとともに,画像の電子透かしシステムでの実験を行い,透かし情報の誤り率を取得する.特に,透かし情報の誤検出の確率を下げるために,復号失敗を生じる形式の復号法を複数調査し,得られる性能を調査する.用いる手法によって,透かし情報の正検出確率と誤検出確率がどのような関係になるかを明らかにする.
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Causes of Carryover |
導入した計算機の動作が順調だったので,HDDやSSDなどの消耗品扱いの部材の購入が不要になったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に導入する計算機の性能を当初予定より高いものとし,より大規模な実験を実施可能とするために使用する.
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Research Products
(2 results)