2014 Fiscal Year Research-status Report
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26330194
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
渡辺 顕司 和歌山大学, システム工学部, 特任准教授 (50571064)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 俊和 和歌山大学, システム工学部, 教授 (00231035)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 多変量解析 / 半教師あり機械学習 / 特徴量変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の研究開始当初、申請した研究計画に基づき、画像データの非負性に着目し、色ヒストグラムを近似する確率密度関数を物理的制約条件として導入した統計的特徴抽出手法に関する検討を行っていた。しかし、病理診断用画像中における細胞単位での病変部位検出などに検討中の手法を適用した場合、細胞毎の「見え」の変化が大きいため、検出・識別性能に大きな向上が見られなかった。 本研究の目的である「ユーザーが数理・情報幾何的な知見を持たなくても、好適な特徴抽出と、識別(類別)結果の直感的解釈を可能にする画像解析手法の提案」を実現し、かつ上述の識別問題における識別性能を向上させるためには、「見え」の変化に対応するための特徴量変換手法を検討・提案する必要がある。そこで、本年度は、半教師あり機械学習手法の枠組みで、「見え」の変化に対応できる特徴量変換手法の提案を行った。 本年度提案した特徴量変換手法は、基礎的な多変量解析手法へと立ち返り、主成分分析、および線形判別分析をレイリー商の形式で定式化した後、半教師あり機械学習手法の枠組みで統合することで、学習データに関するサンプル分布の分散を最大化し、かつ、(ガン・非ガン等の)クラスラベルを付与された教示ラベル付きデータに関するサンプル分布を判別基準の意味で最適に変換できる手法とした。ベンチマークデータセットを用いて、提案手法と、複数の一般的な多変量解析手法を比較したところ、提案手法を用いて変換した特徴量は、比較手法を用いたものよりも高い物体認識性能を示したため、この成果を査読付き国際会議に投稿した。 その他、生物学系研究における統計的手法の重要性を情報工学系研究者に周知するべく、第10回 広島画像情報学セミナーにて講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の実施研究は、特徴量変換手法の検討・提案となったが、広い意味での特徴抽出手法の提案ができており、当初の研究計画を大きく変更することなく進捗できているものと考える。これは、本研究の目的である「生物学系研究者の負担軽減・解析精度向上の実現に資する、新たな画像解析手法の確立」を達成するための、(自動)特徴量変換手法を検討し、査読付き国際会議への投稿が完了していることからも明らかである。 また、平成26度の研究において、画像情報を用いたデータ解析に関する下記の知見が得られており、平成27年度の研究も着実に進展する事が見込める。 1.数量化IV類における類似度の選定はデータ依存性が高く、類似度の選択が解析性能に大きく影響する。 2.入力データの共起性などに着目した方が、安定した解析手法の提案が可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に得られた知見・研究成果を活かし、高識別性能な特徴量を自動で抽出することが可能な特徴抽出手法を、ディープラーニングの枠組みで提案する予定である。提案する手法では、入力データの非負性や疎性などに着目するほか、手法利用者が設定しなければならない「任意のパラメータ数の低減」と、今後さらに容量が増大すると考えられる多量データから特徴抽出を行う事を見据えた「計算時間の高速化と省メモリ化」を、アルゴリズムのレベルで実現する事を目指す。この研究成果は、平成27年度中に査読付き国際会議への投稿を目指す。 現在国際会議に投稿中の特徴量変換手法に関する研究成果は、採録が決定した場合は発表を行い、不採録となった場合は、不採録理由に対応した後、別の査読付き国際会議に投稿する予定である。また、当該特徴量変換手法を、たとえば顕微鏡画像とマススペクトルデータといった、異なるセンサー種のデータを一括して取り扱えるように拡張し、査読付き学術論文誌に投稿することを予定している。
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Causes of Carryover |
本年度では、国際会議への参加費、および計算機用消耗品の購入費、および論文投稿料などの経費支出が無かったため、763,902円の次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度では、本年度に投稿した国際会議への参加費、および論文投稿料が発生する予定である。また、次年度より所属機関が変更となり、研究環境整備のための物品購入費が発生する。使用予定額の内訳としては、国際会議参加費として約30万円、論文投稿料として約10万円、および研究環境整備のための物品購入費として約35万円を予定しており、当該次年度使用額とほぼ同額が必要となる見込みである。
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