2014 Fiscal Year Research-status Report
ミクロレベルの分光画像計測による織物の光学特性の解析
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26330213
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
坂口 嘉之 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 教授 (50425021)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
脇田 航 立命館大学, 情報理工学部, 助教 (80584094)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 表面下散乱 / マルチバンド画像 / 二色性反射モデル / 織物の反射モデル / 質感表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的:織物には、物体色を帯びた鏡面反射成分があることが知られているが、その原因は究明されていない。本研究では、ミクロレベルの画素単位で反射スペクトルが推定できるマルチバンド分光画像を織り構造に関連づけて詳細に解析することにより、物体色を帯びた反射成分のライトトランスポートを解明し、織物のミクロレベルの質感表現が可能なCGレンダリングの実現を目指すことを目的とする。平成 26 年度は、比較的、測定時間が短い2ショット・マルチバンドカメラを用いて、BTF 画像を計測し、物体色の指向性反射成分が、織り構造のどの部分に多く見られるか、その理由は何かを考察する計画だった。 実施した研究の成果:実験の結果、織物の正反射成分は、織物の物体色スペクトルであり、光源スペクトルではなかった。正反射成分は、輝度値が非常に高いので、従来のマルチバンドスペクトル推定方法では、正しいスペクトルを推定することができなかった。そこで、反射輝度に影響されないスペクトル推定方法を新たに考案して利用することで、正反射成分が織物の物体色スペクトルであることが明らかとなった。ミクロレベルで撮影した分光画像を調べると、光源スペクトルの画素は、極、僅かであった。正反射成分が物体色スペクトルになる原因を表面下散乱から検討した結果、織物を構成する糸の単繊維を光が透過し、正反射方向に反射することで物体色スペクトルになると考えられた。 重要性:従来からの反射モデルでは、正反射は鏡面反射と同じ意味であり、光源色であると考えられてきた。これは、不透明な平面物体の表面での反射モデルである。織物の場合には、ミクロレベルでは平面ではなく、また、光が透過して表面下散乱した光が指向性をもった正反射光になる。表面下散乱を考慮した反射モデルが必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
織物の鏡面反射が物体色であることを確認できた。さらに、その物体色は、織物を構成する単糸の内部反射や内部透過による表面下散乱による反射であることをシミュレーションで確かめた。3Dプリンターで織物の織り構造を拡大したモデルを作成して計測する予定であったが、3Dプリンターの入手ができず、やや遅れが発生している。
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Strategy for Future Research Activity |
織物の物体色を帯びる反射機構は、シミュレーションで分かってきたので、今後は、3Dプリンターを入手し、織物の織り構造を拡大したモデルを作成して計測する予定である。これにより、実験とシミュレーション結果を結び付けることができる。
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Causes of Carryover |
購入予定であった3Dプリンターの発売が延期されたために入手できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
購入可能になった時点で購入する予定。
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