2014 Fiscal Year Research-status Report
手の平に指で書く手書き文字入力インタフェースの研究開発
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26330220
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
関 啓明 金沢大学, 機械工学系, 教授 (20270887)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
疋津 正利 金沢大学, 機械工学系, 助教 (10272949)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ユーザインタフェース / 手書き文字 / 摩擦音 / マイクロフォン |
Outline of Annual Research Achievements |
後天的な視覚障害者や高齢者がモバイル環境で使用しやすい、携帯端末用の手書き文字入力インタフェースを開発することが本研究の目的である。そのため、手の平に指で文字を書く動作で生じる摩擦音を、手首付近に取り付けた数ヶ所のマイクで取得し、その伝播時間の差から指の位置を連続的に検出する原理を提案する。視覚障害者や高齢者用のみならず、一般用としても、指の動作を手の平で感じられると、非目視下でも書いている位置や感覚が自然に分かりやすく、ヒューマンインタフェースとしてユニークである。 初年度においては、まず、手の平に指で文字を書くときに生じる摩擦音の特性を解明した。 信頼のおける音響計測システムや周波数分析法を用いた結果、摩擦音はホワイトノイズに非常に近いことや、音声などと異なり、超音波成分をも含む高周波成分をかなり多く含んでいることが明らかになった。これを利用すると、音声等の背景音と摩擦音を分離することができる。また、個人差もあるが、手の甲などの乾燥したしわの多い皮膚の部分で摩擦音の強度が大きくなることも分かった。 次に、3ヵ所のマイクで受信した実際の摩擦音から、伝播時間の差を検出できるかどうかを予備実験により調べた。摩擦音の波形パターンはかなり複雑で、一見ではパターンのずれが分かりにくいが、相互相関を取ることである程度、時間差を取り出せることが見出せた。摩擦音は不安定で、時間差の異常値も多く含むが、結果をメディアンフィルタに通すことである程度安定して、時間差を抽出できた。 これらの結果から、提案する摩擦音を利用した手書き文字入力インタフェースの実現可能性を確認することができ、今後インタフェースを本格的に試作・評価していく基礎を確立することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度においては、手の平に指で文字を書くときに生じる摩擦音の特性が解明でき、今後の摩擦音と背景音の分離などにもつながる成果を得た。また、3ヵ所のマイクで受信した実際の摩擦音から、伝播時間の差を検出できるかどうかを予備実験により調べ、相互相関やメディアンフィルタをかけることである程度安定して、時間差を取り出せることを見出した。 これらの結果から、提案する摩擦音を利用した手書き文字入力インタフェースの実現可能性が高いことを確認することができ、今後、実際のインタフェースを本格的に試作・評価・改良していく基礎技術を確立することができた。これは、今年度計画した内容をほぼ全て含んでおり、おおむね順調に研究が進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究はほぼ順調に進んでおり、大幅な計画の変更などは行わない予定である。今後は予定通り、次のような内容について、順次検討を進めていく。 手の平などに指で文字を書くときに発生する摩擦音と音声などを含む背景音の分離方法や位置検出精度が最も良くなるようなマイクの配置方法、信頼性を高めるための位置検出エラーの除去方法などを理論と実験の両面から検討したのち、小型のコンデンサマイク等を用いてコンパクトな手書き文字入力インタフェースを本格的に試作・評価し、性能を改良していく。実用性を考え、邪魔になりにくい手の平の裏側からの音取得の可能性や、信頼性を高めるための受信音圧差の併用、手の平だけでなく紙や衣類などといった対象との摩擦音の利用などについても検討する。最終的には、手に装着できる実用的なインタフェースの試作とテストへと進めていく。
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Causes of Carryover |
実験用の消耗品などの小さな端数によるもの。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験装置の試作費として、機械部品、電気・センサ部品、材料などの購入にあてる。
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