2014 Fiscal Year Research-status Report
新規ビッグデータ解析手法による精神神経系診断薬開発法の確立
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26330325
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
石井 一夫 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (60449238)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 計算機統計学 / クラウドコンピューティング / 判別分析 / モンテカルロ法 / 数理モデル化 / 精神神経系診断薬 / ビッグデータ / エピゲノミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
脳神経系疾患(うつ病、総合失調症、双極性障害)の網羅的メチル化解析と網羅的発現定量解析について、メチル化マイクロアレイと次世代シーケンサーを用いてデータの収集および、それらのデータを用いた判別分析による予備的な解析を行い、その有効性と、実施可能性について以下のような検討を行った。 1. データの取得については、メチル化マイクロアレイについてはうつ病、総合失調症、双極性障害および健常者について、それぞれ約50検体のデータを取得した。次世代シーケンサーによる網羅的メチル化解析と網羅的発現定量解析については、うつ病および健常者についてそれぞれ約4検体分のデータを取得した。 2. これらのデータを用いた予備的なデータ分析については、まずメチル化マイクロアレイについて、正規化を行った後、メチル化率において有意差の見られるメチル化部位を用いて判別分析を行った。その結果、複数のメチル化マーカーの組み合わせにより、うつ病、総合失調症、双極性障害をほぼ100%の感度および特異度で識別できることを示すことができた。網羅的発現定量解析については、予備的に定量PCRにより複数の発現遺伝子マーカーの組み合わせにより高い感度および特異度識別できることを示すことができた。 これにより複数の定量マーカーの組み合わせによる臨床診断薬開発の目処がつけられた。 3. 上記の解析には、「京」互換スーパーコンピュータSCLS計算機システムや、AWSのクラウド環境を用いて実施し、その有効性を確認することができた。 4. 数理モデルの最適化については、モンテカルロ法を用いた説明変数の最適化がによる数理モデルの作成は有効であることを示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規ビッグデータ解析手法による精神神経系新案診断薬の開発について以下のような研究を実施した。 1.データの取得については、メチル化マイクロアレイについてはうつ病、総合失調症、双極性障害および健常者について、それぞれ約50検体のデータを取得した。次世代シーケンサーによる網羅的メチル化解析と網羅的発現定量解析については、うつ病および健常者についてそれぞれ約4検体分のデータを取得した。 2.これらのデータを用いた予備的なデータ分析については、まずメチル化マイクロアレイについて、正規化を行った後、メチル化率において有意差の見られるメチル化部位を用いて判別分析を行った。その結果、複数のメチル化マーカーの組み合わせにより、うつ病、総合失調症、双極性障害をほぼ100%の感度および特異度で識別できることを示すことができた。網羅的発現定量解析については、予備的に定量PCRにより複数の発現遺伝子マーカーの組み合わせにより高い感度および特異度識別できることを示すことができた。次世代シーケンサーによる解析について、網羅的メチル化解析の場合は、定量的なデータを得るために大量のデータが必要なことがわかり、今後メチル化マイクロアレイを中心にメチル化マーカーの解析を実施することとした。 これにより複数の定量マーカーの組み合わせによる臨床診断薬開発の目処がつけられた。 3.上記の解析には、「京」互換SCLS計算機システムや、AWSのクラウド環境を用いて実施し、その有効性を確認することができた。 4.数理モデルの最適化については、モンテカルロ法を用いた説明変数の最適化による数理モデルの作成は有効であることを示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
定量性とコストの関係から、今後は網羅的メチル化解析についてはメチル化マイクロアレイを用いて、網羅的発現定量解析については次世代シーケンサーを用いてデータの解析を進めることとする。本年度は、モンテカルロ法をもちいた並列処理による説明変数の最適化により、判別分析などを用いて、診断薬として有効な数理モデルの作成が可能であることが示された。今後は、これらの方法を用いて集中的にデータ分析を行い、モンテカルロ法をもちいた並列処理による説明変数の最適化による数理モデルの作成法の確立と臨床診断薬の開発、製品化に努めたい。 1.データの抽出方法については、マルコフ連鎖モンテカルロ法を用いてより効率的な説明変数の選択法を確立したい。 2.データの識別方法については、判別分析以外に、サポートベクトルやベイズ識別法などを用いてより分別性能の高いデータ分析法を確立したい。 3.データ分析環境については、コンテナ型のクラウドシステムやインメモリ並列分散処理など新しい技術によるデータ分析環境が開発されているので、それらの最新の環境を利用してより効率的なデータ分析システムを確立したい。また、クラウドやハイパフォーマンスコンピューティングを用いたソフトウェアの開発だけでなく、GPGPUやFPGAなど、新たなハードウェアの導入による効率的解析システムの開発も同時に実施したい。 これらのデータ分析をもちいて得られた数理モデルの最適化を実施し、より分別性能のいい臨床診断薬開発法の確立を目指し、製品化および事業化を達成したい。
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Causes of Carryover |
次年度に大規模データ解析用の大型コンピュータを購入予定である。しかし、単年度の予算で購入できないので、本年度の予算を次年度使用することとし、コンピュータ購入費用に充てることとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度にデータ解析用の大型コンピュータ(約220万円)を、購入する予定である。残りの予算はそのコンピュータの維持費と解析費用に充てることとする。
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[Journal Article] Blood Diagnostic Biomarkers for Major Depressive Disorder using Multiplex DNA Methylation Profiles: Discovery and Validation.2015
Author(s)
Shusuke Numata, Kazuo Ishii, Atsushi Tajima, Jun-Ichi Iga, Makoto Kinoshita, Shinya Watanabe, Hidehiro Umehara, Manabu Fuchikami, Satoshi Okada, Shuken Boku, Akitoyo Hishimoto, Shinji Shimodera, Issei Imoto, Shigeru Morinobu, Tetsuro Ohmori
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Journal Title
Epigenetics
Volume: 10(2)
Pages: 135-141
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] Blood diagnostic biomarkers for major depressive disorder using DNA methylation profiles.2014
Author(s)
Shusuke Numata, Ishii Kazuo, Atsushi Tajima, Junichi Iga, Makoto Kinoshita, Shinya Watanabe, Hidehiro Umehara, Fuchikami Manabu, Okada Satoshi, Shimodera Shinji, Issei Imoto, Morinobu Shigeru and Tetsuro Ohmori
Organizer
Neuroscience 2015
Place of Presentation
Washington DC, USA
Year and Date
2014-11-15 – 2014-11-19
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