2015 Fiscal Year Research-status Report
引用ネットワーク分析に基づく技術融合型特許の特性に関する研究
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26330361
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
芳鐘 冬樹 筑波大学, 図書館情報メディア系, 教授 (30353428)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 図書館情報学 / 情報図書館学 / 引用分析 / 社会ネットワーク / 科学社会学 / 科学計量学 / 計量情報学 / 計量書誌学 |
Outline of Annual Research Achievements |
技術融合型の研究開発の特性を明らかにすることを目的に,「技術融合型」について定義し,特許や論文の特徴を観察するための観点と,その操作的定義・指標を具体化した前年度の研究結果を踏まえて,平成27年度は,それらの指標を実際に用いた定量的な技術動向調査手法を提案した。具体的には,(1) 特許に付与された分類の共起に基づいて技術融合関係を確認,調査対象の特許群について技術融合ネットワークを構築し,(2) それらのネットワークに主成分分析やクラスタ分析を適用,それぞれの特徴を可視化した。 国立情報学研究所のNTCIRテストコレクションを情報源として,公開特許公報全文データを分析に用いた。日本の主要な自動車関連メーカ18社を対象にした試行的調査で得られた主な知見は,以下のとおりである。 トヨタ,日産,本田,マツダといった乗用車のメーカは,他(トラックのメーカなど)と比べてアーク強度の偏り(標準偏差)が高く,次数・媒介中心性やアーク強度が全般的に高い(75%値が高い)一方で,平均パス長は低い。すなわち,これらの企業では,技術融合型の研究開発が,技術要素の特定の組合せに集中する一方,低い頻度で研究開発が行われる技術要素の組合せも多数存在するという偏った傾向が強い。また,次数中心性の高さから,各技術要素が他の多様な技術要素と結び付く傾向が強いことを確認できる。 パイオニア,ケンウッド,アルパイン,クラリオンは,自動車本体を製造している他の企業と大きく異なる特徴を示している。この4社は,カーオーディオやナビゲーションシステムといった付属パーツに関わるメーカである。これらの企業は,他と比べて次数・媒介中心性の偏り(標準偏差)や密度が高い一方で,中心性やアーク強度は全般的に低く(75%値が低い),平均パス長も低い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の計画として挙げている(1)(2)(3)について,おおむね予定どおり進めた。 (1) 特許の引用ネットワークや分類共起ネットワークにおける直接的な関係の多さ,間接的な媒介性・大域的な構造を考慮する影響度を,それぞれ指標で測る。計算した特許の重要度に基づいて,技術融合型の研究開発の状況を調査する。 (2) 各技術領域や各企業の特許群について,よく参照されている技術要素と,それらの参照頻度を調査する。 (3) (1)(2)で得られた結果に基づき,技術融合型の研究開発の特性に関して,各技術分野の傾向を整理する。また,その傾向の背後にある要因について検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成28年度は,指標の標本量依存性を考慮した枠組みを導入し,前年度までの分析結果を検証する。 (1) 本研究の指標が基礎を置く,文献の被引用数・キーワードの出現頻度などのデータは,低頻度のソース(数回しか引用されない文献など)が大部分を占める性質から,指標の標本量依存性が問題になり,分析結果の解釈において注意を払う必要がある。特に,特許は,被引用数0が非常に多く,学術論文よりもさらに偏った分布をとる。そこで,無作為部分標本抽出のモンテカルロ実験,および補間・補外の理論に基づいて指標の値の変化を推測し,本研究で直接扱ったデータの範囲を越えて,得られた結果を一般化できるか検証する。 (2) (1)の検証結果によっては,技術融合型特許の特性の解釈が困難な可能性がある。その場合の対応として,出願者引用だけでなく,審査官引用も考慮に入れた追加分析を行う。 (3) 最後に,研究の総括を行い,全体成果をまとめる。
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Causes of Carryover |
平成27年度の研究遂行においては,計算アルゴリズムの効率化を工夫し,データ処理の負担を軽減したため,データ処理用コンピュータとして,交付申請時に予定していた金額よりも安価なコンピュータを購入して研究に用いた。そのことなどが理由で,次年度使用額が計上されている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
この次年度使用額は,新たなコンピュータの購入などに充て,ビッグ・データ(1,000万件近い特許出願のフルテキスト)を対象にした,より高度な分析のために用いる。その他の事項については,当初の交付申請時の計画どおり,研究資料,外国語論文の校閲,学会参加の旅費などに使用する。
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Research Products
(4 results)