2014 Fiscal Year Research-status Report
書誌記述の新しいデータモデルFRBR及びRDAに基づく書誌情報システムの研究
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26330362
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高久 雅生 筑波大学, 図書館情報メディア系, 准教授 (00399271)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 図書館情報システム / 書誌情報モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
Web上で提供される情報が多様化するなか、さまざまな業界のデータをオープン化したうえで、Linked Open Data (LOD) 技術を通じて連携する実践が進展しつつある。国内外における図書館をはじめとする書誌情報センターが提供するデータをこれらの情報資源として扱うためにも、書誌情報を共通のモデルで扱えるFRBRモデル及びそれを基盤とする目録規則RDAの重要性に注目が集まっている。本研究は新しい書誌情報モデルFRBR及び目録規則RDAに対応する次世代書誌情報システムの実装モデルを提案するとともに、プロトタイプシステムの構築を通じ、その有用性を検証することを目的としている。本年度は、1) 著作・表現形エンティティの書誌モデル階層の実現、2) RDAエンティティのLOD化の検討の2点を中心に研究を進めた。 1) 著作・表現形エンティティの記述に必要な要素の検討を行い、疎結合構成を前提にすることにより、既存の書誌情報システムとの連携も容易に行える実装モデルとして提案した。既存の書誌情報システムをMIハブ、MIシステムとしてモデル化し、提案システム(著作・表現形の管理システム)をWEシステムとして提供する手法を提案した。提案手法の詳細は『情報知識学会誌』において原著論文として採録された。提案システムは、Next-L Enju Rootとしてオープンソースソフトウェアとして公開している。 2) RDAエンティティのLOD化に向けた調査検討を進めた。あわせて、現場担当者や図書館システム担当者との情報交換、フィードバックを目的とした「FRBR&RDA勉強会」を隔週開催し、活発な意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画における目標の1つであった、FRBRモデルにおける著作・表現形エンティティに対応する実装を終え、提案手法を原著論文として刊行した。著作・表現形エンティティは、エンティティ単位での粒度を区分することを通じて利用者タスクの支援にあたるための基本的なコンセプトであり、既存の書誌情報モデルからの差異が大きいため、既往研究ではほとんど取り組みが見当たらなかった領域であり、この実装を基盤とする領域への応用可能性も大きい。 具体的な応用可能性としては、著作に対応する著者や、表現形に対応する翻訳者等の寄与者の区分を関連付けて提供できるよう、書誌情報モデルの実装を広げていくことを具体的に検討できることも顕著な進展としてあげられる。
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Strategy for Future Research Activity |
著作・表現形エンティティへの対応が完了したことを受けて、1) 件名典拠への対応、2) 名称典拠への対応の具体化を検討していく。とりわけ、件名典拠のための書誌情報モデルFRSAD(Functional Requirements for Subject Authority Data)のデータモデルを活用するための実装モデルを検討する。国立教育政策研究所教育図書館からの協力を得て、日本国内で広く用いられている日本十進分類法や、教育図書館で構築されてきた教科書分類等を対象として、件名、分類体系と書誌情報モデルの関連付けや、必要な実装の形式、結合連携方式の提案を行う予定である。さらに、プロトタイプ実装をオープンソースソフトウェアとして公開し、国内外の図書館や関連類縁機関のコミュニティ関係者等にフィードバックを求め、社会貢献としての活動も進める。
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Causes of Carryover |
本研究課題は当初の予定よりも進展が早く、実装の計画が早めに進んだため、実装開発の一部を最終年度に持ち越すこととした。また、研究開発に必要なサーバ設備機器の購入計画を見直し、最初の2年度は、より迅速な開発体制の構築に注力できるよう、クラウド型計算機環境を積極的に活用することを検討した結果、実質的な支出額を圧縮することができ、一部を次年度使用額として扱うこととなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度にあっては、これらの弾力的な開発体制をさらに進め、適時に必要な計算機資源を適宜用いることを通じて、所期の研究計画の進展を図る予定である。
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Research Products
(4 results)