2015 Fiscal Year Research-status Report
電子書籍形式を用いた写真アーカイブズの「リサーチプロファイル」形成に関する研究
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26330373
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
研谷 紀夫 関西大学, 総合情報学部, 准教授 (00466830)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | リサーチプロファイル / 資料情報基盤 / 写真アーカイブ / デジタルヒューマニティーズ / 写真研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、昨年度より制作してきたリサーチプロファイル(以下プロファイル)の完成と評価、および評価に沿った改訂を基本とする研究を実施した。昨年度末にプロファイルを制作した後に、その概要を6月開催のDigital Humanities2015において発表し、海外のアーキビストなどから評価を受けた。また、これらのプロファイルを活用した、書籍『皇族・元勲と明治人のアルバム』を5月に吉川弘文館より刊行し、情報記述などについての評価を読者よりうけた。さらに同プロファイルの情報を活用した展覧会である、企画展「カメラが撮らえた皇族と明治の偉人たち」が福井県立歴史博物館で4月に開催され、プロファイルの情報が実際の展覧会にどのように活用されるかを検証した。また、こうした表象文化研究とプロファイルを含む資料情報基盤の構築の関係について、研究者との対話も実施し、6月には大阪市立大学で、10月にはJHK 情報保存研究会の第9回資料保存シンポジウムで、さらに11月には国立歴史民俗博物館において、プロファイルの概要について解説するとともに、研究者やライブラリアン、アーキビストからどのような意義を持つものであるかについて意見および評価を得た。さらに、本年度は全国の写真アーカイブに関する調査を実施したが、その成果として、日本アーカイブズ学会の第2回研究集会、「写真資料の整理・公開を考える」が平成28年の1月に開催され、モデレータを務め、そこにおいても写真アーカイブを構築する担当者と情報交換を実施した。これらの評価においては、被写体の同定過程や、写真の物理的な状態や補修に関する情報の共有が、不十分であるため、そうした情報の格納も行うべきである指摘などがなされた。こうした各評価を受けて、プロファイルの情報を改定し、平成28年の3月には評価を終えたプロフィルに関する査読付き論文が「アート・ドキュメンテーション研究」に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度までにおいて、主なリサーチプロファイルが完成し、それらについての国際発表、査読付き論文の掲載、書籍の発刊、研究会の開催、展覧会の協力、各種の講演などを実施し、プロファイルに関する成果発表と評価作業は終了した。その一方で、一部の調査対象者の都合により、調査が延期された調査もあるため、それらについては、平成28年度に調査を実施する。全体としては概ね計画通りに進捗していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度までにおいて、プロトタイプの作成とそれらを評価する作業が終了している。平成28年度においては、平成27年度に間に収録できなかった情報を補足する調査を実施する。またプロファイル情報を国立国会図書館の「オンライン資料収集制度(eデポ)国会図書館」へデータを提供するとともに、プロファイルを作成するためのガイドラインの作成や、文化財を写した写真やその保存のあり方を考える研究会の後援など、写真アーカイブに関する研究調査を進展させる。
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Causes of Carryover |
明治期の写真師である丸木利陽に関するリサーチプロファイルを完成させるための、調査費用として用意していたが、調査対象者2名がいずれも体調や家庭の事情などの都合によって、平成28年度に延期することを希望した。そのため、これらの費用を平成28年度に使用することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度全体では、リサーチプロファイル作成のための取材および国会図書館との調査、それらの成果の発表を実施するための学会発表、国際会議への参加などの旅費に約60万円程支出する。また、成果発表などを実施する研究会での講演料などの人件費が約10万円程発生し、また機材や資料などの物品費などの購入に約30万円支出する。この中で次年度使用額である約24万円については、調査対象者がいずれも東京在住であるため、その出張費用として上述の旅費の一部に充当する。1人2回調査を実施するが、1回の出張費が交通費、宿泊費などを含めて約5万円なので、計4回、合計20万円を使用する。また、これらの調査では記録映像を保存する追加のHDD及びDVDが必要であるため、これらの費用として物品費の中の4万円を充当する。
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Remarks |
本研究が協力した写真に関する展示として、「企画展 カメラが撮らえた皇族と明治の偉人たち―福井が生んだ御用写真師 丸木利陽―」(会場:福井県立歴史博物館の展示、会期:4月25日~5月31日)が開催された。また本研究が後援した研究集会として、日本アーカイブズ学会 研究集会「写真資料の整理・公開を考える―地域の文化と歴史の継承に向けて―」(会場:追手門大学 日時:2016年1月23日)がある。
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Research Products
(11 results)