2014 Fiscal Year Research-status Report
映像アーカイブを活用した地域イメージの循環的生成に関する実践的研究
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26330379
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
北村 順生 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (20334641)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 情報社会学 / メディアリテラシー / 映像アーカイブ / 地域文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、国内の地域間交流による実践的教育研究プログラム「ローカルの不思議」プロジェクトの活動の展開を通じて、マスメディアなどで一般的に流布されている画一的な地域イメージのステレオタイプを克服し、地域に根差した固有の視点により地域住民たちが自らの地域文化について再発見・再認識していくための具体的方策について明らかにしていく。とりわけ、さまざまな地域内の文化的活動との連携の中で、「地域映像アーカイブ」として地域の記憶、記録として保存、蓄積されてきた映像を活用していくことで、従来のナショナルな視点による地域表象を相対化していく、オルタナティブな地域イメージを発信し共有していくための方策について実践的に検討していく。平成26年度においては、「ローカルの不思議」プロジェクトにおける交流実践事態の実施はできなかったが、次の2つの点における調査と実践を進めた。 1.各地における地域映像アーカイブの実態調査 研究代表者がメンバーとして参加している新潟大学「地域映像アーカイブ」プロジェクトで発掘、収集、調査、公開してきた新潟県内を中心に残されてきた写真や動画像について県内外で公開をすると同時に、NPO20世紀アーカイブ仙台、神戸大学・神戸映画資料館、十日町市情報館など県内外の各地で実施されている同様の地域映像アーカイブの活動について連携しつつ調査研究を進めた。 2.地域映像アーカイブ活用の試行 新潟大学「地域映像アーカイブ」で収集、保存している映像資料を活用しつつ、十日町情報館と同館を拠点に活動している市民文書整理ボランティアとの連携のもと、同ボランティアが収集、整理、公開してきた旧山内写真館資料も活用しつつワークショップを開催し、地域に残された映像資料が地域の自己イメージ形成や地域の活性化にむけてどのような可能性を持つのかについて実践的に明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究目的に対して、各地の地域映像アーカイブの実態調査について、各地の実践者との情報交流や共同シンポジウム開催などの連携が進む、大きく進展している。また、地域映像アーカイブ活用の試行についても、地域の行政や市民団体との連携のもとに、着実に実績を積み重ねている。 一方で、「ローカルの不思議」実践による映像アーカイブ活用実践については授業計画との関係で今年度は実施できなかった。また、各地域メディアに対する調査も一部の聞き取り調査を実施したが、全般的な調査には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
各地の地域映像アーカイブとの連携を引き続き進めて、地域映像アーカイブの活用と地域文化への影響に関する調査を進めていく。また、県内の行政や福祉施設などとの協力のもとに、映像アーカイブを活用していくためのワークショップを複数開催し、その地域文化への影響について実践的研究を進めていく。 また、平成27年度は「ローカルの不思議」プロジェクトの交流実践も再開して、映像アーカイブを活用した新たな映像表現による地域イメージの創出についての実験的調査も実施する。さらに、各地域メディアに対する質問票調査を実施し、アーカイブによる地域文化の生産と再生産の実態について調査する。 さらに、当初の計画にはなかったが、ハーバード大学東アジア言語・文明学部の研究者との連携のもとに国外との比較調査についての検討する。
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Causes of Carryover |
授業計画の変更による、当該年度において「ローカルの不思議」プロジェクトの実践交流を実施しなかったことが大きい。そのために必要な機材等の備品や交通費、謝金等が不要となった。また、地域メディア向けの調査も聞き取り調査のみであったため、質問票調査実施に関わる経費が不要となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度においては「ローカルの不思議」プロジェクトの実践交流を実施するため、そのために必要となる機材等の備品や交通費、謝金等の支払いを行う。また、地域メディア向けの質問票調査も実施予定であるため、そのための謝金等の費用が必要となる。
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Research Products
(3 results)