2015 Fiscal Year Research-status Report
映像アーカイブを活用した地域イメージの循環的生成に関する実践的研究
Project/Area Number |
26330379
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
北村 順生 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (20334641)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 映像アーカイブ / 活用 / 地域 / デジタル・ストーリテリング / 授業実践 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、以下の2つに大別される研究を実施した。 1. 映像アーカイブを活用した新しい地域イメージ生成に関する実践的研究 地域間交流授業「ローカルの不思議」プロジェクトの一環として、新潟の地域映像アーカイブが保有する映像資料を活用し、新潟を伝える新たな映像作成に関するワークショップを行った。具体的には、地域における災害の記憶について地域外の大学に伝えるという目的で、新潟地震に関するデジタル・ストーリテリングの映像作成において、地域映像アーカイブの写真やフィルムを活用した。半世紀を経て地域内における災害の伝承、記憶が難しくなる中で、映像アーカイブの映像資料を活用することで、視覚的かつ直感的に地域の災害の記憶を現在の地域の生活を結びつけながら想起することが可能となり、他者に対する伝達というプロセスを経ることで、過去の出来事が現在と結びつきつつ地域を見つめなおす契機として捉え得ることが明らかになった。 2. 映像アーカイブを活用した授業実践の試行 南魚沼市内の5つの小学校において、担当教員と連携しつつ、映像アーカイブを活用した授業の実践を行った。それぞれ授業実践は、祖父母参観やゲストティーチャーなど地域住民との連携、タブレット端末を活用したデータベースの直接閲覧、映像を閲覧した上での言語的な表現による伝達の試みなど、独自の狙いと授業方法により多様な実践を行った。それらの実践を通じて、子どもたちが地域の過去について学び、地域を見つめなおす契機としていくための方法について明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
他大学との交流実践「ローカルの不思議」プロジェクトにおいて、新潟地震についての語りに関して、映像アーカイブを活用した映像の制作実践の実施と検証を行うことができた。 また、南魚沼市との連携により、同市内において当初の計画より多い5つの小学校における映像アーカイブを活用した授業実践を行い、過去の映像資料を小学校の児童たちが地域の現在あるいは未来を見つめなおす材料として活用していく方法論について検証することが可能になった。 さらに、研究成果の中間的な報告を、国際学会において発表した。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究代表者の所属大学が変更となり、居住地も転居せざるを得なくなったため、地域の映像アーカイブを活用した新たなワークショップ実践の実施については、最小限度の回数に留める予定である。 今後は、過去の実施した実践の分析と整理を、他の関連実践との比較検討を含めて実施していくことを中心とする。その成果については、出版を含めた公開を検討していく。
|
Causes of Carryover |
本年度は小学校における映像アーカイブを活用した授業実践を5回実施したり、研究成果の中間的な報告を国際学会において発表するなど、当初の計画より研究が進展したため、次年度予算の一部前倒し支払いを行った。その残金が次年度使用額として生じることになった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度においては、研究代表者の所属大学が変更となったこともあり、新たなワークショップ実践の実施は最小限度としていく予定である。 次年度は本研究の最終年度となるため、研究成果を他の関連実践の研究者・実践者との共同により、出版も含めた公開を進めていく予定である。
|
Research Products
(3 results)