2015 Fiscal Year Research-status Report
銀ナノ粒子のメダカ発生毒性および自然免疫機能阻害に関する糖鎖科学研究
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26340030
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
柏田 祥策 東洋大学, 生命科学部, 教授 (20370265)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮西 伸光 東洋大学, 食環境科学部, 教授 (80372720)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | メダカ / 銀ナノコロイド / 免疫 / 魚病菌 / 感染 |
Outline of Annual Research Achievements |
大量生産品であるナノマテリアルの生態毒性は国際的な懸案事項の一つである。本研究では銀ナノコロイド(SNCs)の生態毒性研究を行った。当該年度の報告は以下の通りである。SNCsを曝露された魚類の自然免疫低下を確認するために,曝露・非曝露のin vivo/vitroメダカに感染症を引き起こすグラム陰性桿菌Aeromonas hydrophilaを感染させることで,自然環境下における銀ナノ粒子の自然免疫へ影響を評価する予定であったが,Aeromonas hydrophilaはメダカ感染実験には適当ではないことが明らかとなり,検討の結果Edwardsiella tardaが至適であることが判明した。昨年度までの検討から,SNCs曝露により,メダカの免疫応答関連遺伝子の発現がかく乱されることが示された。そこで,免疫機能に与える銀ナノ粒子の影響を明らかにするために,病原体抵抗性を指標とした銀ナノ粒子曝露影響評価を行った。受精卵,孵化仔魚および成魚を対象とし,メダカに感染する魚病細菌E. tardaをメダカの飼育水槽に添加することにより浸漬感染させた。実験条件は以下の4条件で行った。条件①銀ナノ粒子 0.05 mg/L曝露のみ,条件②E. tarda浸漬感染処理のみ,条件③銀ナノ粒子 0.05 mg/L曝露後E. tarda浸漬感染処理,条件④コントロール(清浄な飼育液で飼育)。その結果,メダカの生残率は以下の通りであった。受精卵の場合,条件① 100%,条件② 20%,条件③ 20%,条件④ 100%であった。孵化仔魚の場合,条件① 100%,条件② 30%,条件③ 30%,条件④ 100%であった。成魚の場合,条件① 100%,条件② 20%,条件③ 20%,条件④ 100%であった。以上の結果から,銀ナノ粒子はメダカの病原体抵抗性を低下させることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画している事項はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,メダカの感染防御機能への影響を生態学的に明らかにするために,魚病に対する抵抗力が低下したメダカの生命表データを基に個体群増殖速度を評価して,銀ナノ粒子の自然免疫への影響について生態リスク評価を試みる。
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Research Products
(5 results)