2014 Fiscal Year Research-status Report
廃棄物処分場の高pH浸出水のための大気中二酸化炭素による低エネルギー中和技術開発
Project/Area Number |
26340062
|
Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
宮脇 健太郎 明星大学, 理工学部, 教授 (00289521)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 廃棄物埋立 / 焼却灰 / 高pH / 二酸化炭素中和 / 浸出水集排水管 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の具体的な成果としては,流入水pHをパラメータとして,砕石層表面積当たりの二酸化炭素中和能力(二酸化炭素吸収量)の把握ができた。小粒径砕石(径5.6~15mm)での基礎実験を用いて,各種模擬浸出水を作成し,吸着試験を実施した。たとえば流入水pH10.5,11.0,11.5の条件で,砕石層表面での二酸化炭素吸収量を酸消費量より推定し,pHが高いほど,時間当たりの吸収量は多くなることが確認された。小粒径砕石では単位体積当たりの砕石表面積が大きく,十分な二酸化炭素中和能をもつことが確認された。また,大粒径砕石(実処分場で多用される径50~150mm)での中和試験でも,同様の試験を行い,将来的な実証試験に向けたパラメータのデータを集積した。 また,流入水に溶存する塩類濃度は,海水濃度程度まで,二酸化炭素吸収に大きな影響を与えないことが確認できた。実際の処分場から流出する浸出水原水を用いて中和試験を実施した結果,流入水量が少ない条件では,30cm厚の砕石層でpHを1程度低下させられることが確認できた。 現地調査では,高pH浸出水が流出する処分場において状況調査を実施した。また浸出水採取も行い,水質調査および実験室にて二酸化炭素中和試験を実施した。その他,協力自治体より,埋立廃棄物および浸出水を送付いただき,溶出試験,水質試験等を実施した。 雑誌論文作成までのデータは取得できていないが,学会発表で,段階的な成果を報告できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
科研費取得以前より関連研究を進めており,予備的実験などを遂行していたため,スムーズに平成26年度の課題に着手できた。また,本年度の予備試験,装置改良等も実験担当する大学院生の効率的な作業により,予定以上に早く実施できた。この結果,今年度計画した砕石層における大気中二酸化炭素中和試験を実施し,各種条件を設定した模擬浸出水での二酸化炭素データ集積ができた。また,平成27年度予定の一部である,実処分場の浸出水採取,室内試験装置での実浸出水を用いた二酸化炭素中和についても,実施できた。 研究予算規模から考え,今年度の試験群については,費用対効果は高いと自己評価できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究開始当初の平成27年度研究計画では,昨年に引き続き,主に処分場周辺で想定される様々な条件での二酸化炭素吸収中和について試験を実施することとしていた。予定された,試験については継続して実施する。なお,昨年度の実績として,予定した計画よりも研究が進んだことより,今年度は平成26年度の試験で得られた課題について実験的に検討することを主として,研究を推進することとした。 理論上からも想定されている課題であるが,砕石層への浸出水流入量が大きい場合,二酸化炭素吸収が少なくpH低下が小さいという現象が確認された。中和技術として大きな課題であるため,実験的に二酸化炭素の移動を確認し,吸収量を増加する手法を検討することとした。大気中二酸化炭素(低濃度)を利用するため,供給量に限界が生じることが予想される。これまで,砕石層の部位別二酸化炭素濃度は実測していないため,今年度,二酸化炭素計(昨年度末に購入・準備)を用いて,砕石層内の二酸化炭素濃度分布を測定する。また,二酸化炭素中和により,カルシウムスケール(炭酸カルシウム)が生成し,水処理施設や放流管等を閉塞する可能性があるため,Ca濃度を細かく確認し,各実験を行うこととする(昨年度末にCaメータを購入・準備)。 以上の構想をもって,平成28年度予定とした実証試験についても,上記実験遂行が早まれば,年度内に二酸化炭素吸収中和の小規模実証試験装置設置を実処分場内で開始したいと考える(データ採取等は平成28年度)。
|
Causes of Carryover |
事前準備や予備試験において,予定より実験条件設定が早期に進み,試行錯誤的に実施する無駄な試験が減少した。次年度の予算が当初次年度予定としていた試験には不足することが予想されたこともあり,年度末に計画的に予算使用を控え,次年度に使用することとした。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は当初配分額が少ないため,次年度使用額は物品費(消耗品)として使用する。消耗品としては,試薬,分析用ガスが主となる。
|
Research Products
(2 results)