2014 Fiscal Year Research-status Report
超高回収・高選択的レアメタル捕集材料を用いた都市鉱山完全リサイクルシステムの開発
Project/Area Number |
26340075
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
永井 大介 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (30375323)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | レアメタル / 回収 / トリチオシアヌル酸 / メラミン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、都市鉱山回収リサイクルに用いる超高回収量レアメタル捕集自己集合体の開発を行った。本研究では、トリチオシアヌル酸(TCA)とメラミンの水素結合を介した自己集合によるレアメタル捕集を検討した。TCAを金属塩水溶液に溶解させることで効率よく金属イオンに配位させ、メラミンを加えることでTCA-金属錯体と水素結合を形成し、自己集合体が沈殿することを利用した簡便かつ効率的なレアメタル捕集システムの開発を検討した。 Pdイオンの水溶液にTCAを加えパラジウムに配位させ、室温で1時間撹拌後メラミン水溶液を加えると集合体が形成され沈殿物が得られた。沈殿物をろ過により分離し、Pd回収率を原子吸光光度計により測定したところ96%と高い回収率が得られた。このことから、TCAを用いることで均一系で効率良くPdイオンに配位させることができ、その後メラミンを加えることで集合体が沈殿し、ろ過によりPd(II)含有集合体を簡便に分離できることが明らかとなった。 本システムのPd回収における回収速度を調べたところ、10秒以内に回収が完了し極めて速いことが分かった。また、TCA-メラミン集合体のPd(II)回収における濃度効果を検討することで最大回収量を決定した。その結果、使用したTCAとメラミン合わせて1gに対して1.25gのPdを回収できることが分かった。この最大回収量は他の回収材料と比較しても世界最高であり、非常に高い回収能を示すことが明らかとなった(文貢値:0.01-0.595 g/g)。以上のことから、Pdには高い回収能を示すことが分かったので、他の白金族元素(白金、プラチナ等)の回収挙動を検討していく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である都市鉱山サンプルの完全回収では、第一に、超高回収量捕集自己集合体により白金族元素(Pd, Pt, Rh等)を回収した後、第二に、高選択的捕集材料により白金族以外の元素(Li, Co, Ni, Mn等)を回収する。平成26年度では超回収量捕集自己集合体の開発に成功し、本年度では高選択的捕集材料の開発を遂行できる予定であることから、おおむね順調に進んでいると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.平成26年度では、レアメタルを高回収量で捕集する自己集合体の開発に成功した。例えば、パラジウム回収において、使用した材料の重量あたりの金属回収量は世界最高である。また、回収可能な金属選択範囲が広い傾向が見られているが、網羅的には解析できていない。そこで、高回収量捕集自己集合体のレアメタル捕集選択性を検討し、本リサイクルシステムでの高選択的捕集材料の前に使用することにより、半導体基板などからの取りこぼしのないレアメタル回収を目指す。具体的なターゲットとしては、白金族元素(Pd, Pt, Rh等)の選択性を検討する。
2.高回収量捕集自己集合体では捕集されないレアメタル(Li, Ni, Co, Mn等)を選択的に捕集する材料の開発を行う。例えば、「リチウムに配位可能なカルボン酸塩構造を有するTCA誘導体―メラミン」と「コバルトに配位可能なホスホン酸基置換TCA誘導体―メラミン」の二つの自己集合システムを開発する予定である。
|