2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26340084
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
今井 昭二 徳島大学, 大学院理工学研究部, 教授 (50232591)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | PM2.5 / 越境汚染 / 樹氷 / 雪 / 大気エアロゾル / 環境化学 / 山岳研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は平成27年度冬期に採取した雪や樹氷の化学分析を実施するとともに平成29年1月-3月において西日本および本州日本海沿岸部の冬期の山岳において雪や樹氷の試料を採取した。標高2000m近くでの雪試料採取ができたことは稀少な試料を入手できた点で今後が期待できる。 具体的内容は、四国を含み、日本海沿岸の山岳における冬期湿性沈着中のフライアッシュの化学組成から東アジアでの発生源と輸送機構について明らかにした。また、北東中国がPM2.5粒子の発生地域であり、その流入には僅かに24時間であることも初めてわかった。さらに西日本に流入する大気汚染物質の発生源を特定する方法として石炭由来物質の鉛とカドミウムと非海塩性硫酸イオンが有効であることを実証した。 2008年から2014年における高知県梶ヶ森山頂の樹氷と降雪中のカドミウム、鉛、非海塩性硫酸イオンの長距離輸送機構, 本州日本海沿いの遠隔地における降雪中の無機小球体粒子の組成と長距離輸送,及び,日本海沿岸および四国の遠隔地における降雪中のPb/Cd比を用いた長距離輸送機構解明のためのバックグラウンドを明らかにした。PM2.5粒子の東アジアからの冬季長距離輸送器項と起源評価を可能にしたことは、特に西日本に流入する大気汚染物質の発生域の推定に後方流跡線解析と中国産の石炭特有の重金属濃度比を活用することで可能にした。 最後に、人為起源の大気汚染物質の負荷量の評価には自然界におけるバックグラウンド濃度の情報が必要であるが南極やヒマラヤなど日本からかけ離れた場所の情報しかない現状がある。そこで、四国の山岳部や中国地方の山岳部、東北地方の山岳において人為活動に依存しない時の重金属濃度の情報が獲得できたことは国内と越境の寄与率計算に有効である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一昨年からの暖冬の影響で冬季湿性沈着物(雪、樹氷など)のサンプリングが難し以上状況であった。平成29年冬季においても2月上旬まで歴史的な暖冬の影響で新鮮な試料採取が難しかったが、2月中旬から3月下旬の寒波の襲来で試料採取ができたことが理由である。これまでのデータによる論文執筆や学会発表については順調に進行した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年1-3月に採取した冬期のサンプルの化学分析を行うと友に学会発表も計画している。平成29年後半には科研費全体の報告書を取り纏める。
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Causes of Carryover |
昨年度までの暖冬の影響による雪や樹氷の試料の採取が不十分であるとともに時期が2月中旬から年度末までずれ込んだ。これによって試料分析や報告書のまとめが遅れたために次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
雪や樹氷の分析に必要な学外分析の為の経費、学内で分析するときの諸経費、分析機器の消耗品など、また、報告書をまとめるための経費として使用する。
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Research Products
(4 results)