2015 Fiscal Year Research-status Report
曲面のある動く立体物へのリアルタイム・プロジェクションマッピング支援システム
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26350025
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Research Institution | Aichi University of Technology |
Principal Investigator |
杉森 順子 愛知工科大学, 工学部, 准教授 (00559891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永野 佳孝 愛知工科大学, 工学部, 教授 (40610142)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | プロジェクションマッピング / メディアデザイン / 映像デザイン / インスタレーション / 画像認識 / アクチュエータ / 映像表現 / メディアアート |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、工学的専門知識が無くても「曲面のある立体物」に正確なプロジェクションマッピングが行え、映像とマスクの合成をリアルタイムに計算することで「動く立体物」にも投影できるシステムを開発することである。「プロジェクションマッピング」とは、建物などの立体物をスクリーンとしてその形状に合わせた映像をプロジェクタで投影する技法である。なかでも、曲面のある立体物や動く物にインタラクティブに投影することが難しいと言われ、技術的な問題が作品制作の妨げとなっている。ゆえに、誰にでも使えるプロジェクションマッピングの制作支援システムを開発することで制作者の負担を軽減し、普及に貢献することができる。 初年度の研究で作成した2システムに加えて、本年度はインタラクティブな投影を行うために、3つの基礎技術の開発を行った。最初のシステムは、赤外線を用いた移動物体追従システムである。赤外線を認識できるビデオカメラを用いて、プロジェクタで投影された映像の前面で動く人や物だけを認識し、その動きに追従する仕組みを開発し、評価を行った。 2つ目は、カメラ画像差分による投影演出システムである。これはプロジェクタとスクリーンの間にある立体物を避けて、スクリーンだけに映像を投影する仕組みである。カメラが動く立体物を認識してその部分の映像を除くことで、静止した場所だけに映像が投影されるソフトウェアを開発した。このプログラムを応用すると、壁面のような静止した場所だけ、あるいは動いている立体物だけというように制作者が任意の場所を選んで効果的な投影を行うことが可能となり、映像表現の幅を広げることができる。 3つ目は、壁に触れると画像が切り替わるシステムである。触覚センサーなどの代わりに壁に設置された2台のwebカメラを活用し、認識範囲に入ると投影された画像が変化する仕組みを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に沿って、おおむね順調に進んでいる。27年度は(1)赤外線を用いた移動物体追従システム、(2)カメラ画像差分による投影演出システム、(3)壁に触れると画像が切り替わるシステムの3つの仕組みの開発を行った。前年度には、動く物体を追尾するための基礎技術としてカメラ画像から立体物の凹凸を自動的に抽出する手法と、GPUでリアルタイムに演算するプログラムを開発した。さらに動きに追従する射的アクチュエータを作成し、位置を特定するシステムを開発している。 本年度の研究成果発表として、日本デザイン学会の研究会にて口頭発表を行った。また、蒲郡市生命の海科学館で行われた招待講演のなかで、研究成果の一部や動向調査から明らかになった事例について発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、これまで作成した5つの技術を統合して評価を行い研究を進める。26、27年度の研究から、動く立体物を色認識により追従するプログラム、赤外線により形状認識の検出はできているため、これらをあわせて行うことで、より正確に映像を投影可能なシステムとする。また、立体物の移動予測についてもプログラムの改良を行う予定である。 課題として、物体を素早く動かすとPCの処理が追いつかず、赤丸マーカーが滑らかにボールを追尾しないという問題点が明らかになった。今後は、LEDを増やすなど動作を認識できる範囲を拡大したうえで、動く立体物をより高い精度で認識し、追従できるように改善を行う。また、これらの研究を用いて、新たなユーザー参加型コンテンツとして、触れると投影された映像が変化する作品制作を進めていく。 同時に、プロジェクションマッピングは関連する技術や表現方法の変化が極めて速いことから、今後も合わせて同分野の動向のリサーチを継続して行う。
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Causes of Carryover |
研究全体の内容に変更点はないが、全体システムに必要となる基礎技術の開発を優先して研究を行っている。また、それを用いてプロトタイプを作成し、実施における問題点を明らかにする作業を行った。そのため、当初計画した機器の購入時期が変更となり、経費に差異が生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
差額については、28年度分と合わせて使用する計画である。
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