2014 Fiscal Year Research-status Report
西洋から見る19世紀後半の日本と朝鮮の伝統服飾に関する比較研究
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26350077
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
鄭 銀志 県立広島大学, 人間文化学部, 准教授 (20398887)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 家政学 / 服飾文化 / 比較文化 / 国際情報交換 / 日本:朝鮮:アメリカ:イギリス |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究実績として、主な点は以下のようである。 まず、19世紀の後半の西洋人が撮影した朝鮮服飾関連画像資料の収集を行なった。その上、当時、朝鮮に滞在した西洋人の学者や宣教師、教育者、旅行者などが記した紀行・記録文の収集・調査を行なった。そのうち、朝鮮の伝統服飾に関する記述が多くみられる10編の原文資料を選別、服飾関連箇所を抽出・翻訳し、西洋人の視点から記録した19世紀後半の朝鮮服飾関連の基礎的資料を構築することができた。以上の資料を7つのカテゴリーに分類・分析し、19世紀の西洋人が朝鮮の伝統服飾をどのように認識していたのかを明らかにした。その成果の一部は、日本家政学会中国・四国支部研究発表会(2014年10月5日)で「西洋から見た朝鮮時代末期の服飾文化―19世紀後半から20世紀初に書かれた西洋人記録を中心に―」で発表しており、本学の授業「比較文化論演習」の教育内容として還元した。 次に、朝鮮の伝統服飾・朝鮮使節服飾(遣米使節団など)関連の西洋新聞記事の収集・調査を行なった。New York Times以外の資料群は少なかったが、服飾関連箇所を抽出・分析したところ、西洋人記録にみる内容と類似した結果が得られた。ただし、日本と韓国ではFrank Leslie’s Illustrated Newspaper(朝鮮使節服飾関連記事・挿絵が収録)の所蔵先がなかったので、資料の入手が出来なかった。当資料は26年度の研究計画調書にも記したように、27年度のアメリカ調査(日本服飾関連研究)の際に、収集・分析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画調書に記した一年目の「研究目的」二点のうち、「朝鮮の伝統服飾が西洋人の目にはいかに映じていたのか究明する」という点で成果を上げている。まだ西洋新聞記事の収集・分析は完結されていないが、西洋人の旅行・記録文に関しては「西洋人の視点から記した19世紀後半の朝鮮の服飾関連の基礎的史料を収集・構築する」という点で成果を上げているので、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究を引き続き、27年度は西洋人が日本の伝統服飾をどのように認識していたのかを明らかにするために、以下の方法で研究を進める。 1.アメリカで日本から欧米へ派遣された使節(1860年、1862年、1867年、1872年)の服飾に関する資料調査を行なう。その際に、朝鮮使節服飾関連調査も同時に実施する。 2.1866年パリ博覧会に見る日本の服飾に関する資料を調査・収集する。 3.19世紀の後半に日本に滞在した西洋人の学者、宣教師、旅行者などが記した紀行・記録文の調査・収集し、日本の服飾文化と関連する箇所を抽出する。 以上の1,2,3を分析・考察し、成果発表をした上、機関誌や学会誌へ投稿し、一般に公表する。
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Causes of Carryover |
当初予定より、研究図書の購入が多かったので、物品費が大きく増加した。一方、学会発表地が地元であったので旅費やその他の費用が減少し、次年度使用額(5,236円)が発生した。その額は27年度の海外調査や論文発行の際に使用する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究費使用項目の主なものとして、西洋資料調査のための旅費、研究成果発表のための旅費、投稿論文の発行費、西洋文献・研究関連図書の購入費を予定している。
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Research Products
(1 results)