2014 Fiscal Year Research-status Report
食生活の偏りが脂肪炎症関連疾患に及ぼす影響と腸内細菌叢の関わりについて
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26350123
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
有持 秀喜 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (30311822)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 高脂肪食 / 脂肪炎症 / PSMB8 |
Outline of Annual Research Achievements |
食生活の偏りに伴い増加している2型糖尿病や動脈硬化症は、脂肪組織の炎症が関与している。腸内細菌叢は免疫系の構築や機能に重要な役割を持っており、食生活の違いが腸内細菌叢のバランスに影響を与える。これらの背景から食生活の乱れによる脂肪炎症関連疾患の発症に腸内細菌叢の変化、およびPSMB8分子がどのように関連するのかを明らかにすることを目的とした。野生型マウスおよびPSMB8欠損マウスに高脂肪食を与え、脂肪炎症の程度やインスリン抵抗性などの糖代謝異常に違いが見られるかを検討した。その結果、体重変化は普通食を与えたマウスでは遺伝子型の違いによって差は見られなかったが、高脂肪食を与えた場合、体重増加の割合がPSMB8欠損マウスでは野生型マウスに比較して小さいことが明らかとなった。マウス体内の脂肪量および筋肉量を測定したところ、筋肉量は各群で差がなかったが、脂肪量に関しては内臓脂肪、皮下脂肪ともにPSMB8欠損マウスでは野生型マウスに比較して少なく、高脂肪食を与えてもこの傾向は変わらなかった。脂肪炎症では組織内に浸潤したCD8陽性T細胞が重要な役割を果たす。そこで、内臓脂肪に浸潤した細胞数を計測したところ、高脂肪食を投与すると普通食投与群と比べて浸潤細胞数が多くなる傾向が見られ、どちらの餌でもPSMB8欠損マウスでは野生型マウスに比べて細胞数が少ないことがわかった。しかし、浸潤細胞におけるCD8陽性T細胞の割合は遺伝子型の違いによって差が見られなかった。空腹時血糖値は高脂肪食の投与で増加する傾向が示されたが、遺伝子型による違いは見られず、高脂肪食投与時のインスリン抵抗性についても遺伝子型による差は見られなかった。これらの結果は、PSMB8分子の欠損は高脂肪食投与時に見られる脂肪の増加に影響を与えるが、脂肪炎症や糖代謝に関しては影響していない可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
食生活の偏りに伴う脂肪炎症関連疾患の発症にPSMB8やCD98などの分子や腸内細菌叢の変化がどのように関連するかを明らかにすることを目的としている。平成26年度の研究によりPSMB8分子の影響の一端を明らかにすることができたため、おおむね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究を継続、発展させるとともに、CD98分子や他の免疫関連分子を欠損したマウスにも高脂肪食を与え、脂肪炎症やその際の腸内菌層の変化について調べることで、食生活の偏りによる脂肪炎症および糖代謝異常の発症に係る腸内細菌叢と免疫関連分子の関係を明らかにする。
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Causes of Carryover |
平成27年3月納品となり、支払いが完了していないため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年4月に支払い完了予定である。
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