2014 Fiscal Year Research-status Report
ビタミンA栄養状態とエネルギー及び脂質代謝との関連性を追究する分子栄養学的研究
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26350127
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
山口 範晃 長崎県立大学, 看護栄養学部, 助教 (80516295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
駿河 和仁 長崎県立大学, 看護栄養学部, 准教授 (70315852)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ビタミンA / 肥満 / 脂肪組織 / 筋肉 |
Outline of Annual Research Achievements |
ビタミンAは、体内の脂肪組織重量を減少させることが報告されており、ビタミンAが肥満の予防や治療の効果をもたらす可能性に期待されている。申請者らは、これまでに高脂肪食を摂食させて肥満を発症させたマウスに活性型のビタミンAであるall-trans レチノイン酸(ATRA)を投与したところ、脂肪組織重量が減少し、さらに脂質燃焼によるエネルギー消費量が増大したことを報告した。しかし、ATRAは食物中には極めて少ない量しか含まれておらず、多くの場合、レチニルエステルやβカロテンを食餌から摂取する。そこで、本研究では、高脂肪食摂食による肥満を発症したマウスにレチニルエステル(レチニルアセテート:RA)を経口投与したときの、脂肪組織重量および各代謝の変動について追究した。 その結果、HFDマウスと比較して、RA投与マウスは体重および脂肪組織重量がともに有意に減少した。また、それぞれのマウスについて呼気分析による測定を行ったところ、RA投与マウスはエネルギー消費量および脂質燃焼量が有意に増大した。一方、脂肪組織、筋肉および肝臓の脂質合成関連遺伝子の発現量がRA投与群で減少していた。これらの結果から、RAはエネルギー消費量および脂質燃焼を亢進させ、脂肪合成を減少させることで、脂肪組織重量を減少させている可能性が示唆された。これらの研究成果は、2015年5月にACN2015で発表予定である。 現在の研究状況として、この研究結果の再現性を確認すると同時に、ビタミンA過剰摂取時の脂肪組織重量や、脂肪組織および筋肉の各種代謝変動について検討している段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
筋肉や脂肪組織のビタミンA(レチノイン酸)の測定をまだ実施できていない状況である。レチニルアセテート(RA)は投与後、各組織においてレチノイン酸にまで合成されるはずであり、その確認が十分に遂行されていない状況である。 また、RA投与によるエネルギー代謝の亢進や脂質合成の低下に関し、その調節機序について十分に追究できていない。申請者は、AMPKがその調節機序の因子であると考えているが、その確認が十分になされていない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
既に「研究実績の概要」に記載したように、ビタミンA過剰摂取時の筋肉や脂肪組織の各種代謝変動について検討している段階である。上述のように、ビタミンAは肥満抑制効果も期待されていると同時に、ビタミンAの過剰摂取は中毒を引き起こす危険性もある。従って、どの程度ビタミンAを摂取すれば、脂肪組織重量を健全な状態で減少させることができるかを検討している段階である。
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Causes of Carryover |
「1,386円」の次年度使用額が生じた理由として、物品(消耗品)購入は概ね計画通りに実施できたため、その金額はあくまで端数であると考えている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験に必要な消耗品の購入を考えている。
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