2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26350159
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Research Institution | Jumonji University |
Principal Investigator |
名倉 秀子 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 教授 (80189175)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 給食 / 品質管理 / 大量調理 / モデル献立 / 調理工程 / 栄養成分 |
Outline of Annual Research Achievements |
給食の利用者に提供する栄養成分表示について、レシピに基づく食材料を日本食品標準成分表の栄養成分合計によって得られた計算値と調理・提供された給食を化学分析して得た栄養素による実測値の差異を明らかにし、その要因を生産・提供管理から解明することを目的としている。 1.給食の献立は毎食異なり種類が豊富であるが、実験では調理工程を反映させた単純な工程のモデル献立(1種類)が求められ、その料理構成を一汁二菜として具体的に料理を組み合せた献立内容の検討を行った。数種の給食施設の献立を参考に検討した結果、モデル献立は「ご飯、根菜類のみそ汁、鶏肉のあんかけ、お浸し」とした。 2.モデル献立の調理工程を確認するために、大量調理の実験を実施した。献立計画に基づき廃棄量を考慮した重量を発注し、発注伝票に従った食品の納入の重量は、0~10%の増量にて配送された。この納入された食材料に対して給食になった場合の量を生産率として求める調理実験を米(炊飯)と野菜(ゆで操作)について実施した。野菜は、生産率について安定した値を得るまでに至ってないが、米について次のような結果が得られている。千葉県産うるち米コシヒカリを一釜あたり米4.0kg~5.6kg(50食~70食)炊飯し、生産(調理)工程において、洗米による吸水率は米の9~18%、加熱による蒸発量は米の重量に関わらず一定であった。加熱中の温度履歴は温度上昇期、加熱期、蒸し煮期と時間の関係において少量調理の理論曲線と同様の傾向を示したが、炊飯釜の中心部と辺縁部で差が観測できた。この差は、炊きあがった米飯の物性に影響があると推察する。そこで、米飯の物性測定を行い、米飯の硬さ荷重は、釜の上層部より下層部、釜の辺縁部より中心部の方が低値となり、逆に付着性では下層部、中心部が高い値を示し、釜内の部位による差が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は単純な調理工程の料理を組み合せたモデル献立の作成とその献立の大量調理の実施と重量変化の測定を計画していた。主食である米飯は、順調に進んでおり、生産工程における標準化が確立できるまでの調理科学的推測がなされている。しかし汁物、主菜、副菜は、調理工程における標準化につなげるデータから、調理科学的な成果を得るためには予想外の時間がかかり、単純な調理工程の料理ではあるが、計画すべての実施には至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の炊飯に加えて、献立の主菜、副菜、汁物についても生産工程における標準化のための調理科学的推測に充分耐えうるデータの収集を実施する。野菜等の切裁に伴う廃棄率、下処理である洗浄による付着水、加熱調理後の成分溶出に伴う減少量、または加熱調理後の油脂類の付着量、調味を伴う重量の変化、そして盛り付け、提供時の1食当たりの重量、調理機器類等への付着量を集中的に複数回測定する。その後、主菜の肉類について、成分溶出を含めた調理工程上のデータを得る。また、調理・提供される給食が一定の品質に確保されているかを客観的に把握するため、物性測定、水分測定、食塩濃度など簡易な測定機器により計測をする計画である。そして給食が一定の品質を保つ調理工程の確立を目指し、再現性のある献立を見出す予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は主菜、副菜、汁物の料理について、生産工程における標準化のための調理科学的推測に耐えうるデータの収集が充分得られなかった。野菜の調理工程(ゆで操作)に関しては、1種類の食材のみに留まっており、次年度に数種類の食材を検討する。多種類の食材を10kg以上と大量に実験するために、材料費および実験補助として謝金等が次年度の使用額として生じている。また、品質管理のための簡易な測定機器等が使用額に含まれる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
複数の野菜類の切裁に伴う重量の変化、洗浄やゆで操作による水分付着量、加熱調理および調味に伴う食材の重量変化、配膳に関わる1食当たりの重量などの調理科学的データを得るための実験を実施する。いずれも、1実験当たりの材料重量は100食以上という大量で実施し、繰り返して複数回実施する。さらに、提供する料理として品質を確保できているかを客観的に把握するため、物性測定、水分測定、食塩濃度など簡易な測定機器を用いて実験・計測をする計画である。そして給食が一定の品質を保つための調理工程の確立を目指し、再現性のある献立を見出す予定である。
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