2014 Fiscal Year Research-status Report
交渉学を利用した学生-社会人ギャップをうめるコミュニケーション力の育成モデル構築
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26350294
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
田上 正範 関西大学, 教育開発支援センター, 研究員 (70636951)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 敏幸 関西大学, 教育推進部, 教授 (50367439)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 交渉学 / 教材開発 / コミュニティ |
Outline of Annual Research Achievements |
研究Ⅰは、交渉学の問題解決のプロセスを活用し、既に開発したカリキュラムを基にして、学生が社会人ギャップを乗り越えるために学習プロセスの研究開発を図るものである。研究代表者および研究分担者のこれまでの研究成果より、マルチ・モーダルな情報提供となるコンテンツの拡充を実施した。具体的には、有効性を確認済みである、テレビドラマ(DVD)を使った教材開発を行った。候補教材として14作品を検証し、本目的に適合する2作品(※1)の教材化及び実証に成功した。※1:ドラマ「僕のいた時間」フジテレビ(2014)、ドラマ「移植コーディネーター」WOWOW(2011)。なお、教材化及びその実証には、1作品につき少なくとも1カ月の研究期間を要するため、当初計画の通り、平成27年度も本取組を継続する。また、学習者自身が学習効果を高めるような学習環境を検証するため、一般の学習者が機器の操作説明なく利用可能なICT機器として、携帯端末(注:通信費用が発生するような利用はなし)を検証した。しかし、スマートフォンほか、高性能な携帯端末の普及に伴い、主催者側がICT機器を提供するよりも、学習者自身がもつ、日常的に使い慣れたICT機器を活用したくなるよう、質の高いコンテンツの提供に注力する方がよいことがわかった。 研究Ⅱは、交渉学を継続的に学習するコミュニティの形成を図るものである。社会人が集まりやすいよう利便性のよい立地で、定期的な開催を実施した。いずれも社会人と学生が参加する交流ワークである。*開催日と参加数:6月7日10名、6月28日20名、7月26日24名、9月20日18名、10月4日14名、11月1日21名、12月20日15名、3月14日10名(全8回)。また、学生コミュニティのコアメンバーを形成するため、学生が参加しやすい学内施設を活用した、学生ワークを行った。*開催日と参加数:9月18日4名、11月22日19名、2月12日9名、2月27日6名、3月5日11名(全5回)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、学生と社会人とのコミュニケーション・ギャップを乗り越えるため、学生視点からのアプローチ(研究Ⅰ)と社会人視点からのアプローチ(研究Ⅱ)を行い、3年の研究期間(平成26年度から28年度)の間に、有機的に関連づけ、その育成モデルを構築するものである。 研究Ⅰでは、これまでの研究成果を踏まえ、特に教材コンテンツの拡充を図り、1コマ90分の時間制約の中で、短時間かつ効率的に、社会の現実的側面を理解させる育成方法を研究開発するもので、平成26年度の研究計画は、マルチ・モーダルな情報提供となるコンテンツの拡充を図り、具体的には、テレビドラマや映画(DVD)を使った教材開発を行うことである。検証用作品として、計画10作品に対し14作品を検証し、本目的に適合する2作品の教材化及び実証に成功した。 研究Ⅱでは、研究代表者および研究分担者がもつ社会人ネットワークを使い、交渉学を継続的に学習する社会人コミュニティを形成するものである。平成26年度の研究計画では、社会人が集まりやすいような利便性のよい立地で、定期的な開催を行うことである。主要な交通機関のハブとなる立地(大阪駅徒歩圏内)で8回、いずれも社会人と学生が参加する交流ワークを実施した。また、学生コミュニティのコアメンバーを形成するため、学生が参加しやすい学内施設を活用した、学生ワークを5回実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究Ⅰでは、平成26年度からの活動を継続する。また、現実的側面の高いテレビドラマ(DVD)の教材化と授業実践を通じて、マネージャー経験をもつ社会人の観点から、実践の場面で有用かつ育成可能な能力を抽出する。平成28年度には、拡充した教材コンテンツと抽出した社会人視点の要素との関係を整理し、1コマ90分の時間制約の中で、短時間かつ効率的に、社会の現実的側面を理解させる育成方法を研究開発する。 研究Ⅱでは、平成26年度からの活動を継続すると共に、社会人と学生のコミュニティ、及び(自学の)学生と他大学とのコミュニティを連携した企画を催し、価値観の異なる学習者同士の学び合いの交流を図る。参加する学生は、研究Ⅰで構築した育成プロセスを修了したものとし、社会の現実的側面を向上させた学生と、学び合いの価値観をもつ社会人とが交流することによって、学生と社会人とのコミュニケーション・ギャップを乗り越える。 特記として、研究代表者が、平成27年度4月に所属大学を異動することになった。付随して、交渉学に関する科目数が、計画時より増えることになった。そのため、当初の所属大学および異動後の大学において、研究Ⅰの成果を活用した教育実践と、研究Ⅱの他大学間コミュニティを、より充実させることが期待できる。
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Research Products
(3 results)